輸出免税 非居住者に対する役務の提供(消費税法施行令17条)

国際取引の消費税Q&A四訂版 (上杉秀文著)を読んでいます。

 

非居住者に対する役務の提供で国内において直接便益を享受しないもの、

曖昧な概念で、条文通達での情報量が少ないのが非常に問題。

頭の整理のために記載します。

 

この本自体は、何を根拠に書いているの?という批評を受けることも多い本なのですが、

(例えば、輸入消費税を荷主以外の名義人が控除することについて否定的な見解が書かれている等、

 国税よりで、条文根拠はよくわからない?という箇所もあります。)

国税の中枢にいた著者がこれだけのボリューム感で書いている書籍で、体系的な本です。

というか、条文通達の情報量が少なすぎるからこそ、

上杉先生の700ページに渡る著作の根拠がわからなくなりやすいという気も。

また、消費税の国際取引を調べるときには、この本と、もう1-2冊くらいしか候補がないはずです。

 

消費税法施行令17条

七 法第7条第1項第3号、前項第3号及び第1号から第5号までに掲げるもののほか、

非居住者に対して行われる役務の提供で次に掲げるもの以外のもの〔通達7-2-16、7-2-17〕
イ 国内に所在する資産に係る運送又は保管
ロ 国内における飲食又は宿泊
ハ イ及びロに掲げるものに準ずるもので、国内において直接便益を享受するもの

 

3-63 外国親会社の受託業務の再受託と直接便益の判断

 

誰に対して役務を提供したかの判断について、

・報酬の支払者

であり、実際に便益を享受した人ではない、という考え方。

「報酬の支払者が」国内において直接便益を享受しているか・いないかで、免税の有無を判定する。

さらに、外国法人が国内において直接便益を享受しているかどうかの判定について、

報酬の支払者が日本で消費税課税対象となる売上を上げる事に直結する効果があるなら、

 国内において直接便益を享受すると言える

という考え方が登場しています。

「X社のY社に対する役務の提供は国外取引と判断されることになります。

 このことはX社の行為は国内での課税売上には直接該当しない、つまり、

 A社の行為はX社にとって(日本)国内で直接便益を享受するものではなく

 A社は輸出免税の適用が受けられるという論理になると考えます。」

 

※もちろん、日本国内で課税売上が生ずる事案でも、この後の3-64のように、

日本国内だけで直接便益を享受しているか、の判定は必要かと思います。

 

3-64海外企業の広告を国内で行う場合

 

海外企業本社が日本で雑誌広告を出す場合について、

広告の効果は「日本においてのみ便益を享受する」ものではなく、

全世界的に便益を享受する、と解釈。

 

日本で発行する、日本語の雑誌なのだから、日本でのみ享受するのでは?と突っ込みたくなりますが、

輸出免税適用でOKと結論付けています。

限りなく、日本国内だけで直接便益を享受しているように思えるけど、

もしかしたら、海外での売上に貢献しているかもしれない、全世界的なブランドイメージ戦略の一環だ、

という発想でしょうか。

上杉先生は、この解釈においては、あまり国税より(税収増)の解釈ではないのか。

 

3-78 国外で販売した商品の代金回収業務

 

外国法人がWEB上のダウンロード商品の販売をし、日本法人が代金回収業務の手数料を請求

イ 国内に所在する資産に係る運送又は保管 二も該当せず、
ハ イ及びロに掲げるものに準ずるもので、国内において直接便益を享受するもの にも該当しないので免税売上。

 

3-79 国内で行う商品の発送と代金回収業務

 

3-78と似ていますが、外国法人名義で日本に輸入済みの商品を販売し、日本法人が代金回収の手数料を請求

イ 国内に所在する資産に係る運送又は保管 に該当し、

日本国内において直接便益を享受している。

(輸入済み貨物の売上、内外判定により消費税課税対象となる日本での売上に貢献している)。

(3-63と同じ、「報酬の支払者が日本で消費税課税対象となる売上を上げる事に直結する効果があるなら、
 国内において直接便益を享受すると言える
」という考え方)

 

3-70外国企業に対して日本の弁護士が法律相談を受けたケース

 

法律相談は国外においても便益を享受するので、輸出免税対象である

(日本だけで便益を享受すると言い切れるものではない)との解釈。

 

3-59 外国人旅行者への時計の修理

 

時計は長期にわたって使用するもので、その修理によって日本滞在中に受ける便益はその一部に過ぎず

国内において直接便益を享受しているものに該当しないので、

輸出免税の適用有り。

修理契約書を保管しパスポートコピーを保存、納品書写しにサインを求めて保存。


3-74 非居住者に対する医療

国民健康保険等の被保険者ではなく、非課税には該当しない。
しかし、下記の3-59と同じ理屈で免税取引にならないのでしょうか。
ここで消費税法基本通達7-2-16(7)が出てきて、免税から除外されています。
私は現時点で、3-59との違いが分からず。

消費税法基本通達7-2-16  非居住者に対する役務の提供で免税とならないものの範囲
令第17条第2項第7号《非居住者に対する役務の提供のうち免税となるものの範囲》

において輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供には、

例えば、次のものが該当する。

(1) 国内に所在する資産に係る運送や保管
(2) 国内に所在する不動産の管理や修理
(3) 建物の建築請負
(4) 電車、バス、タクシー等による旅客の輸送
(5) 国内における飲食又は宿泊
(6) 理容又は美容
(7) 医療又は療養
(8) 劇場、映画館等の興行場における観劇等の役務の提供
(9) 国内間の電話、郵便又は信書便
(10) 日本語学校等における語学教育等に係る役務の提供

郵便局からの郵送の方法により輸出する場合の輸出免税の適用について

(質問)

 消費税の輸出免税売上については、輸出許可通知書等の書類の保存を要件としていますが、

 郵送の方法により輸出されるもので20万円未満の価格のものについては、

 輸出許可通知書が不要とされております。

 この場合、下記いずれかを保存することとなるかと思いますが、

 ②はいわゆるEMSのラベル(送り状の控え)を指すと思いますが、

 2点質問してもよろしいでしょうか。

 (質問1)

 ②を完全に破棄している場合でも①の帳簿があれば

 輸出免税が認められると理解してよろしいでしょうか?

 (質問2)

 ②については出荷時の事務作業の簡略化のためある程度省略した書きぶりがしてあり、

 ①との整合性が完全にとれるわけではありません。

 (内容、数量、金額など)

 完全な整合性がないことについて、輸出免税の適用上問題になることはありますでしょうか?

  ① 下記の事項が記載された帳簿(会社が作成したもの)

   イ 輸出年月日

   ロ 物品の品名・数量・価額

   ハ 受取人の氏名・住所等

  ② 下記の事項が記載された物品受領書等(受取人が交付したもの)

   イ 受取り年月日

   ロ 物品の品名・数量・価額

   ハ 輸出者の氏名・住所等

   ニ 受取人の氏名・住所等

(回答) 郵便による輸出の場合の輸出取引であることの証明の方法

消費税は、一定の輸出取引については輸出免税の対象として消費税を免除するこ

ととしています(消法 7①)。

この場合において、輸出免税の適用を受けるためには、行った取引が消費税の免

除対象となる輸出取引に該当するものであることを証明する必要があることとさ

れています(消法 7②、消規 5)。

事例の取引は、郵便による輸出取引であり、輸出価額が 20 万円以下であること

から、輸出証明の方法は消費税法施行規則第 5 条第 1 項第 2 号《輸出取引等の証

明》によることとなります。

これらのことを前提として事例について検討すれば、次のとおりとなります。

質問 1 について

輸出価額が 20 万円以下の場合の輸出証明は、帳簿「又は」物品受領書等の書類

とされていますから、帳簿のみの保存でも輸出免税の適用は受けられると考えます。

質問 2 について

輸出証明に係る「物品受領書等」の記載事項は消費税法施行規則第 5 条第 1 項第

2 号に明確に示されており、法令の規定に規定された事項が記載されたものである

必要があることになります。

事例における物品受領書等がどの程度この規定から外れているのかが分かりま

せんが、実務においては輸出されたことが明らかであり、その取引の内容及び金額

等が判明するものであれば、認められるのではないかと考えます。

国外からの直送便により日本国内の消費者に販売する場合の消費税の課税関係

(質問)A社は中国に倉庫を持ち、現地で仕入れた商品について、

 日本国内のネットショップで一般顧客から受注をし、

 中国倉庫から日本の一般顧客へ直接納品をしております。

 (この場合に、A社は輸入者の立場ではなく、 各一般顧客が輸入者であるとします。)

 この場合に、A社にとってこの売上高は資産の譲渡が行われる時において

 資産の所在地が日本国外であることにより、 国外売上となり、消費税の課税対象にならないものと考えておりますが、 この認識は正しいでしょうか。

(回答)商品の取引に係る課税関係

 消費税法上、資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、その資産

の譲渡等が資産の譲渡である場合には、原則として、その資産の譲渡が行われた時

においてその資産が所在していた場所が国内にあるかどうかにより行うものとさ

れています(消法 4③一)。

 事例の場合、その事例照会の内容において「A社は…、中国倉庫から日本の一般

顧客へ直接納品をしております。(この場合に、A社は輸入者の立場ではなく、各

一般顧客が輸入者であるとします。)」等とされていることからみて、A社から一般

顧客に対してその商品(資産)の譲渡が行われた時においてその商品が所在してい

た場所が中国(国外)であると認められ、そうすると、その商品の譲渡は国外取引

に該当して課税の対象にならない(不課税)と考えます。 

ふるさと納税の謝礼品を業務用資産として利用した場合の課税関係
〔質疑事項〕
個人事業者であるAは、ふるさと納税により合計60 万円の寄付を行い、その返
礼品として時価10 万円相当のパソコン3 台を受取りました。
Aは、このパソコン3 台を自身の事業所得に関する業務の用に供しましたが、こ
れらのパソコンは、Aの少額資産(30 万円未満の経費算入)として経費計上が認
められるでしょうか。
また、認められる場合には時価を客観的に算定することになるのでしょうか。
返礼品の受取りは、一時所得になりますが、時価50 万円以内につき課税は生じ
ないものと考えております。
〔回答事項〕
ご指摘のとおり、いわゆるふるさと寄付金を支出した者が地方公共団体から謝礼
を受けた場合の課税関係において、その謝礼(品)による収入(経済的利益)は、
一時所得に該当することになるとされています(国税庁HP・質疑応答事例参照)。
従って、一時所得の計算において原則的には50 万円の特別控除がありますので、
当該金額に満たない収入については課税されないものと考えられます。
また、贈与を受けた非業務用資産を業務用資産(減価償却資産)として利用する
こととした場合の当該資産の減価償却費の計算(所得税法施行令第120 条から第
122 条までに規定する取扱い)に関しては、当該資産の取得価額は、同令第126 条
第1 項第5 号に規定するところにより「その取得の時における当該資産の取得のた
めに通常要する価額(時価相当額)」によるべきものと考えられます。
ところで、中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例制度
(租税特別措置法第28 条の2 第1 項)においては、その適用条件として「--平成
30 年3 月31 日までに『取得』し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、--事業所
得--を生ずべき業務の用に供した減価償却資産--云々」とあり、一定期間内におけ
る『取得』を一つの適用条件としています。
(減価償却制度、一般において相続、遺贈による取得に係る別段の規定はあるも
のの、)受贈資産に係る当該特例制度の適用の是非を判断するに当たって、この『取
得』の態様に地方公共団体(法人)からの『受贈』という形態を含むかどうかが問
題となりますが、同項に規定する適用除外規定には、特段、「有償取得に限るとか、
贈与による取得を除くとか」といった制限的規定に関する文言がないと認められる
ところから、法文上は、受贈も取得の一形態というべきものと考えられます。
無論、受贈品に係る経済的利益の額、すなわち収入額(所得)が事実上課税の対
象とされていないという、税負担の無い、換言すれば反対給付(対価)の支出がな
い取得資産について減価償却費の必要経費算入を認めることについて一見矛盾す
るような点がないわけではありませんが、仮に当該受贈品が高額であり、当該受贈
品に係る経済的利益の額が課税の対象となっている場合にあっては、当然のように
当該課税所得(収入)が取得対価であるとして、その受贈品に係る減価償却費の計
上を認めるという考え方が出てくるのではないかと考えられます。
また、公共団体からの補助金による減価償却資産の取得、補助制度における現物
給付資産についても当該減価償却資産に係る減価償却費の必要経費算入が認めら
れることからすれば、上記のように解することが相当と考えます。
だとすれば、収入についての課税所得計算(一時所得の課税関係)と事業所得等
の必要経費算入額の計算(減価償却資産の取得価額)とは、税法上自ずから異なる
別個の規定であり、其処に相互関連を求める必要はないと解することが相当と考え
ます。
なお、謝礼品の時価は10 万円/台であるとのことですから、少額な減価償却資
産として一括償却の取扱い(同令第139 条の規定の適用)を受ける場合にあっては、
当該年分の減価償却費として計上し得る額は、当該取得価額の合計額を3 年間で均
等償却した場合の金額になるものと考えます。

取引先の代理で輸出を行った場合の消費税還付の可否

 

(前提条件)

内国法人A社は内国法人B社から商品を仕入れ、日本に支店のない外国法人C社に輸出販売を行っております。

この場合において、A社はB社に商品代を支払っておりますが、

商品はB社倉庫からC社に直接発送されており、

通関における名義はA社になっている状況です。

A社は課税事業者であり、消費税の還付申告を行いますが、

B社は免税事業者です。

さらに、A社が消費税還付を受けた際には、B社に消費税相当額を追加で支払う

約束がされております。

(ご質問1)

上記前提の上で、上記商品について、A社がB社から本当に商品の仕入れを行ったかが税務上問題になると思いますが、

商品をB社からC社へ直接発送したことをもって、

A社側の仕入税額控除が否認されることがありえるでしょうか。

ちなみに、輸送費用はA社が負担しており、B社はA社に対し一定の利益を上乗せして販売しているものとします。

(ご質問2)

A社が消費税還付を受けた後の、

A社からB社に対する消費税相当額の支払いは、

当該輸出から数か月後に行われることになります。

仕入れ代金の追加支払いとして、法人税法上の損金算入が認められるでしょうか。

寄付金を認定される要素がありますでしょうか。

 

(回答)消費税の仕入税額控除の適用の可否

 消費税は、国内において事業者が課税仕入れを行った場合には仕入税額の控除を

することとされていますが(消法 30⑦)、仕入税額の控除をするためには課税仕入

れに係る帳簿及び請求書等の保存が必要となります(消法 30⑦)。

 また、消費税は事業者が輸出取引又は輸出類似取引を行った場合には、輸出免税

として消費税を免除することとしています(消法 7①)が、輸出免税の適用を受け

るためにはその取引が輸出取引に該当することの証明書等の保存が必要であり(消

法 7②、消規 5)、事例の輸出取引の場合には税関長の輸出許可書が証明書となりま

す(消規 5①一)。

 これらのことを踏まえて事例について検討すると、次のとおりとなります。

質問1について

 事例のA社とB社の取引を見れば、B社の国内倉庫渡しによりB社からA社の資

産の譲渡が行われたものであり、国内取引に該当することから、B社の課税売上げ、

A社の課税仕入れに該当し、A社はこの取引に係る課税仕入れの内容を帳簿に記載

するとともにB社から交付を受ける請求書等を保存することを要件として仕入税

額控除をすることは可能と考えます。

 消費税相当額の追加払いについても、その金額に係る帳簿及び請求書等の保存を

要件として仕入税額控除をすることが可能であることは同様と考えます。

 なお、消費税の仕入税額控除と輸出免税の適用は格別の取引として判定されるも

のであり、事例の輸出取引に係る資産の所在場所がB社の国内倉庫であることをも

って仕入税額控除ができないことにはならないものと考えます。

 したがって、上記の要件を満たしている限りにおいては、仕入税額控除を否認さ

れることはないものと考えます。 

 

(回答)還付消費税相当額の支払の可否

 

ご質問 2 の場合には、そもそも、ご質問の取引が A 社と B 社との間の売買取引な

のか、A 社による B 社の輸出販売の委託関係(名義貸し)なのかということが問題

です。この点は、ご質問 1 に関連する問題でもあり、ご質問の取引(スキーム)を

行う理由を問われることになると考えます。

仮に、A 社による B 社の輸出販売の委託関係(名義貸し)だとすると、輸出免税

に係る還付金相当額の支払については、その委託関係(名義貸し)を前提として処

理することになりますので、A 社においては、B 社からの仕入に係る代金、輸出販

売に係る対価及び輸出免税に係る還付金相当額につき仮勘定として処理すること

になると考えられます。

ただし、この委託関係(名義貸し)の場合には、B 社が免税事業者である場合に

は、脱法行為として問題視される可能性があります。したがって、B 社が免税事業

者の場合には、むしろ、課税事業者となることを選択して、B 社が輸出免税を適用

するということの方が現実的であると考えます。

また、仮に、A 社と B 社との間の売買取引である場合には、A 社における輸出免

税に係る還付金相当額を B 社に支払う理由はないと考えられます。この場合には、

寄附金として処理することが相当であると考えます。ただし、寄附金処理をすれば

事足りるといったものではなく、この取引そのものが不自然な取引として問題とな

る可能性があります。

ご質問の場合には、以上のような問題点を踏まえて検討する必要があると考えます。

 

事前確定届出給与の届出書記載の給与支払い日と現実の給与支払いが違う場合の取り扱い

 

(質問)

法人税における事前確定届出給与についてご質問させていただきます。
 届出書の付表においては、毎月の役員報酬について具体的な日付と金額を記入して提出することとなっておりますが、
 現実には、土日祝日や経営者の都合により必ずしもちょうどその日付での給与振込ができない場合があります。
 事前確定届出給与のうち賞与に相当する部分については、
 厳格に届け出をした通りの日付金額を遵守しない限り損金算入できないと理解しておりますが、
 定期同額給与に相当する毎月の報酬についても、
 付表に記載した日付を遵守しないかぎり損金算入に影響してしまうのでしょうか。

 

(回答)

支給日が休日の場合の定期同額給与
法人税法34 条や令69 条においては「支給時期」、「一定の時期」という規定があ
りますが、この「支給時期」については、一般に「支給日」であるといえますが、
その日が確定日であるということではないと考えます。それは賞与についてもいえ
ることで、土・日や祝日は、そもそも企業自体も休業し、金融機関も休業していま
すから、ご指摘のように、支給日が土・日や祝日に当たる場合には、「支給日」に
は事実上支給できない事態となります。このため、支給日が土・日や祝日に当たる
場合には、通常、その直前日や直後日に支給されますから、その直前日や直後日が
「支給日」となります。
したがって、支給日が土・日や祝日に当たる場合には、その直前日や直後日に支
給しているときは、税務上の問題は生じないと考えます。 

倉庫業に関する消費税の取り扱いについて

(質問)


B社では、中国にある取引先からの依頼により、日本での物流倉庫を運営しています。
具体的には、中国にいる消費者が日本のECサイト(楽天など)で購入した商品の、送り先としてB社の倉庫を指定してもらい、

複数の購入先から購入された複数の商品を梱包しなおしてから、

国際郵便で中国の消費者の自宅へ発送します。

B社においては下記の業務内容を行い、報酬を受け取っているわけですが、売り上げに関する消費税の課税区分をご教示ください。

(現実には1と2は一体となって「作業料」として収受しており、3については実費として先方に明示して請求しています。)

1、非居住者から指定された荷物(日本に所在)を梱包(し直しする)する作業

2、日本から中国へEMS(国際郵便)で発送する手間賃

3、日本から中国へEMS(国際郵便)で発送する実費

(上記3について立替金として不課税扱い、または国際輸送として免税売り上げ扱いができればよいのですが、もし課税売上という解釈になるのであれば、対応する支出がEMS料金という不課税の支出であるため、消費税の納税が大きくなることが予想されます。)


(回答)

国際郵便に係る手続に係る課税関係
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等を課税
対象としています(消法4①)。
なお、消費税の課税対象となるものであっても、輸出取引及び一定の輸出類似取
引については輸出免税として消費税を免除することとされています(消法7、消令
17)。
事例の取引は、取引の事実関係等が明らかでないことから断定的な回答はできま
せんが、国際郵便を利用した輸出取引としてB社が輸出者に該当する場合には輸出
としての資産の譲渡等として輸出免税の対象となり、国内において輸出のための手
間賃等については、輸出の許可を受ける前の段階の役務の提供であることを前提と
すれば、課税対象になるものと考えます。
これらのことを前提として事例について検討すれば、次のとおりとなります。
質問1,2について
質問1及び2の取引の対象となる商品は、これらの役務の提供を行う段階では輸
出の許可前であり、内国貨物に該当すると認められますから、内国貨物に係る役務
の提供として課税対象になると考えます。
なお、この場合の手数料を誰から受領しているのかが明確ではありませんが、仮
に国外の事業者(非居住者)から受領する場合であっても、国内に所在する資産の
運送に付随する役務の提供として課税対象になるものと考えます(消令17②七)。
質問3について
質問3の国際郵便の輸出者がB社になっているのかそれ以外の者になっている
のかが明らかではありませんが、いずれの場合であっても郵便料金が輸出免税の対
象となることは明らかであり(消令17②五)、この費用をB社が自己の費用として
処理する場合には輸出免税に係る支払いとして仕入税額控除の対象とはならない
と考えます。
なお、この場合において国際郵便料金を含めた金額を代行手数料とする場合には、
その全額が課税対象になるものと考えます。
次に、それ以外の者が輸出者となっている場合には、B社の支出を明確に立替払
いとして処理していれば、その処理は認められるものと考えます。
したがって、事例の場合には、国際郵便料金については立て替え払いの処理をし、
B社においては国際郵便料金に係る料金負担はないものとして処理することが妥
当な結果になるものと考えます。

仕入値引きの計上時期について

 

質問

 

工業部品の輸入販売における仕入値引きの計上時期についてご質問させていただきます。
A社では外国から工業部品を輸入し、日本の客先の倉庫に直接納品しています。
製品の内容に不具合がある場合、または輸送中の事故(海水や雨水に浸食されてしまうなど)により製品の品質が思わしくない場合に、客先からクレームが入り、
売上金額の減額(値引き)をせざるを得ない場合があります。
この場合、弊社は外国の仕入れ先に対し仕入れ金額についても値引きの要請を当然いたしますが、仕入れ先は出荷時に製品内容のチェックを行っていることもあり、簡単に減額に応じることは稀であり、
仕入値引きの可否が判明するのは数か月を要する場合がほとんどです。
(仕入れに関して基本契約書などは存在せず、つどつどオーダーシートと請求書のみで取引しています。仕入れ値引きについては、今後も含めた取引量などの全体的な交渉の中で初めて認められるようなニュアンスがあります。)
そこで具体的なご質問ですが、
(質問1)
売上値引きを計上した年度において、仕入値引きが確定しない場合、仕入値引きについては翌年度以降の益金として法人税の申告を行うことは問題があるでしょうか。
(質問2)上記に問題あるとすれば、
「売上値引きと仕入値引きを期間対応させるべき」という考え方でしょうか。
もしくは、「商品の不具合が生じた時点で、仕入れ先が認める認めないにかかわらず、仕入れ先に対し返金請求権が生じているのだ」という考え方でしょうか。
ご教示いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

回答

売上値引と仕入値引の対応関係
ご質問の場合には、ご質問を見る限り、A社の売上値引の原因が生じたことによ
り、抽象的には、仕入値引を請求し得る事実が生じたということがいえます。しか
し、売上値引に係る事実が即仕入値引となる事実となるかという点では、その生じ
た事実と責任の所在が必ずしもリンクしていないと考えられます。そうすると、売
上値引と仕入れ値引とが同時に発生せず、仕入値引については別途確定させなけれ
ばならないという法律関係にはなっていると考えられます。
したがって、ご質問の場合の売上値引と仕入値引につき、「同時両建て」をする
必要はなく、仕入値引が確定した段階で値引処理をすれば良いと考えられます。

 

 

入社予定者に対する紹介料の支払い

 

質問

 

A社は新しく幹部として入社するB氏(個人)に対し、
B氏が前職から引き継いできた仕事の案件に対する紹介料として、
雇用契約の対価とは別に、
200万円を支払う旨、口頭で合意しております。
なお、この仕事については今後数年継続して収益が期待できるものです。
A社でのこの200万円の支払いの経理処理及び法人税での取り扱いについてご質問させていただきます。
質問1、200万円については税法上の繰延資産に該当し、複数年での償却を行う必要があるでしょうか。
質問2、この200万円について所得税法35条(雑所得)、所得税法基本通達35-1(9)に規定する転職の支度金として支給することも検討しております。
その場合には、A社の当事業年度の損金とすることが可能でしょうか。

 

回答

社員の引抜料等の取扱い
ご照会事例における「仕事の案件に対する紹介料」が具体的にどのようなものな
のか、また,その支出の効果が支出後1 年以上に及ぶのかどうかなどが判然としま
せんので確答はできかねます。
仮に、ご質問のように、転職の支度金として所得税法204 条7 号に該当(所基通
204-29、35-1(10)参照)する場合に、法基通8-1-12 の取扱いにより繰延資産に該当
するのではないかという疑義と思われます。
当該取扱いは、プロ野球選手等自由職業者(事業所得者)と専属契約をして一定の
役務提供を受けることを前提に支出する契約金等は、その支出の効果が契約期間全
般に及ぶものと認められることから繰延資産として取り扱うこととされています。
ご照会事例における支出金が、雇用契約を締結する際のいわゆる引抜料(契約金)
である場合には当該取扱いの適用はなく、支出時の損金処理が認められると考えま
す。

 

割賦契約による飲食店内部造作設備の取得について

 

質問

 

所有権留保付き割賦販売契約により、飲食店の内装工事一式を契約した場合の、法人税、消費税の処理についてお尋ねさせていただきます。
質問1 購入者側においては消費税の延払い基準の適用がなく、利用開始(引き渡し)の時期に工事総額に対する仕入税額控除を行うという認識でよろしいでしょうか。
質問2 購入者の法人税における取り扱いは、通常の資産取得と同じく減価償却を行えばよろしいでしょうか。
質問3 添付のとおり、割賦料金の支払予定表の1か月ごとに消費税が計算されていることについては、上記質問1の趣旨から、理解しかねるのですが、どのような意味合いであるか、ご見解を伺えれば幸いです。
以上、よろしくお願い申し上げます。

回答

1 質問1 について
課税仕入れに延払基準の適用はありませんし、消費税法基本通達11-3-2 は、
割賦購入の方法等による課税仕入れを行った日について、当該資産の引渡しを受
けた日とする旨を定めていますから、ご検討のとおり、当該内装工事費用の全額
を工事業者から引き渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入れとして処理
すべきことになります。


2 質問2 について
法人税法第31 条は、減価償却費の計算期間の始期を減価償却資産の取得の日
とする旨を規定し、同法施行令第59 条1 項1 号は、事業年度の中途で事業の用
に供した減価償却資産の償却費は月数按分により計算する旨を規定しています
ので、これらの規定に従って減価償却費を計算すべきことになります。また、法
人税基本通達7-3-2 は、割賦購入資産等の取得価額について、その契約において
購入代価と割賦期間分の利息及び売主の代金回収のための費用等に相当する金
額が明らかに区分されている場合には、取得価額にその利息及び費用相当額を含
めないことができるとしていますので、この点も検討すべきことになります。


3 質問3 について
添付の「お支払予定表(請求書)」を見ますと、店舗内装設備の契約額が
9,216,000 円でこれに対する消費税額が737,280 円とされており、この金額を48
回の分割払いとするため、1 回当たりの支払額は、本体部分192,000 円と消費税
部分15,360 円の合計207,360 円になることを示しているものと認められ、課税
仕入れの時期とは関係がないと考えられます。なお、課税仕入れの時期について
は、上記1 に記載のとおりです。

 

 

マンション管理組合が解散し修繕積立金の全額が返金された場合

質問

個人の不動産所得の計算上の、修繕積立金の処理について伺います。

A氏(個人)は5年前に、築20年経過の区分所有マンションの1室を購入し、
他者へ賃貸しておりました。
A氏が購入して以降の不動産所得の計算においては、
修繕積立金の支払いについて、
添付の資料の要件を参考にし経費処理をしてきました。
このたび、このマンションの建て替え事業が決定し、
管理組合が解散することになり、各所有者に対し、
過去に支払った修繕積立金の全額を返金するとの通知がありました。
この場合に、A氏は所有者になってからの5年間で支払った以上の
金額の修繕積立金の返金を受けることになる見込みですが、
この金額は不動産所得の収入に計上すべきものでしょうか。
それともほかの所得区分が考えられるのでしょうか。

 

回答

当該マンションを建築当初から所有して賃貸の用に供していた場合、マンション
の建て替えが決定して、管理組合が解散することにより修繕積立金の返金を受ける
場合は、従前不動産所得の必要経費に算入していたものの返金ですから、返金時の
不動産所得の総収入金額に算入すべきものと考えられます。
中古マンションを取得する場合、前所有者に修繕積立金の未払額があるか、従前
の修繕積立金の金額がどの程度になっているかなどのことは、その取得価額を決定
する上で考慮すべきことと考えられますが、これは当該マンションに係る権利義務
の一切を新規取得者が引き継ぐことになることによるものと考えられます。したが
って、前所有者が支払った修繕積立金と自己が取得後に支払った修繕積立金を別々
のものと考えるべきではありませんから、ご質問のような場合も、修繕積立金の返
金額は返金時の不動産所得の総収入金額に算入すべきものと考えます。

 中間省略登記と非居住者への不動産譲渡の場合の源泉徴収義務

 

質問

非居住者が日本にある不動産を内国法人に対して譲渡する場合には、
源泉所得税を10.21%徴収することとされております。
この場合において、添付ファイルの例のように、
非居住者Aが内国法人Bへ譲渡し、Bが別の内国法人Cに
譲渡する中間省略登記、が行われることがありますが、
この場合の源泉徴収義務者は内国法人Cになるという理解でよろしいでしょうか。
実際に代金を支払ったものが源泉徴収義務を負うという考え方でよろしいでしょうか。

 

回答


非居住者Aが自己の国内所在の不動産を内国法人Bに譲渡したものであれば、税
務上は、その不動産登記の状況の如何(中間省略登記の存否の如何)に関わらず、
当該不動産の譲渡対価は、内国法人Bから非居住者Aに支払われることとなるもの
と解します。
ご照会に添付された「中間省略登記」の理解は、いわば「第三者(ご照会の場合
は内国法人C)のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権の移
転」或いは「買主(内国法人B)の地位を譲渡した場合における売主(非居住者A)
から買主の地位の譲受人(内国法人C)への直接の所有権の移転登記」における、
その登記を容認する考え方に基づくものですが、この考え方は、あくまでも不動産
登記法上の解釈であって、税務上、私人間の契約によってその納税義務(源泉徴収
義務)が転々と異動する筈もなく、少なくとも、税務上においては、内国法人Bが、
一旦、非居住者Aから当該不動産を譲渡契約により取得した場合にあっては、当該
不動産の譲受人(買主)は、あくまでも内国法人Bであり、当該譲渡契約に係る不
動産の対価は、内国法人Bから非居住者Aに対して支払われるものと解するのが相
当と考えます。
仮に、実際にその対価相当額が当該不動産を内国法人Bから転得した内国法人C
によって非居住者Aに支払われている場合であっても、内国法人Cによるその支払
は、あくまでも内国法人Bが非居住者Aに対して負っている「不動産取得に係る支
払債務」を内国法人Bのために代位又は代理して、当該債務の弁済を行っているも
のと解し、課税関係を整理することが相当と考えます。
代位支払又は代理支払の法的効果は、本人(内国法人B)について生ずるもので

あるところから、結果、内国法人Cは、その支払に当たって内国法人Bの名の下に
所得税の源泉徴収を行い、かつ、内国法人Bを源泉徴収義務者とする納付書を作成
して当該支払の日の属する翌月10 日までに内国法人Bの納税地を所轄する税務署
長に対して当該税額を納付すべきものと考えます。

非居住者に対する家賃の支払に係る源泉徴収義務者

 

〔質疑事項〕
非居住者Aは、日本でマンション等の不動産を購入し、これを日本法人C社に同
社の社宅として貸し付けました。
所有者A(非居住者)は、不動産管理会社B社を通じて、C社から社宅の家賃を
受取っていますが(C⇨ B⇨ A)、この場合、家賃に対する20.42%の源泉徴収義
務は、不動産管理会社B社と日本法人C社のどちらが負うと解すべきでしょうか。
〔回答事項〕
不動産賃貸契約の具体的な取決めの内容が明らかでありませんので、確答には到
りませんが、一般的には、不動産管理会社は、単なる仲介・不動産管理業務等、マ
ンション所有者のための代理行為を行うものと考えられ、当該契約により非居住者
Aに対して家賃支払債務を負う者は、借主である日本法人C社であると考えられま
す。
従って、当該債務に係る債務者であるC社は、代理人であるB社を通じて非居住
者Aに対して家賃の支払を行うものの、所得税の源泉徴収義務までを含め、当該支
払に係る納税義務を私人間の契約で異動させることは認められませんので、本来債
務者であるC社において所得税の源泉徴収義務を負うべきものと考えます。
そこで、C社は、家賃の支払額から20.42%の税率によって徴収した源泉所得税
相当額を控除した額を、B社を通じてAに支払うことになるものと考えます。

飲食事業における会計伝票の破棄と青色申告の取り消し

 

質問

 

飲食業を営む個人事業主が会計伝票を廃棄した場合について

個人事業主として飲食業を営むAさんは、店舗の売り上げに関する会計伝票及び

レジペーパーを廃棄し、

日々の売上金額を自身のメモ帳に記入することによってのみ、

売上金額が確認できる状態となっております。

このような場合、資料が不完全であるとして、

青色申告の取り消し処分を受ける可能性があるでしょうか。

(前提条件として、これ以外の資料・帳簿に不足はないものとします。)

 

回答

 

青色申告の承認の取消しについて規定する所得税法第150 条1 項1号は、青色申

告の承認を受けた業務に関する帳簿書類の備付け、記録又は保存が同法第148 条1

項に規定する財務省令で定めるところに従って行われていない場合、税務署長は青

色申告の承認を取り消すことができるとしています。

上記所得税法第148 条1 項に規定する財務省令とは、同法施行規則56 条(青色申

告者の備え付けるべき帳簿書類)を指し、同条は、青色申告者が備え付ける帳簿書

類について、同規則57 条から64 条の規定によらなければならない旨規定していま

す。

そして、同規則63 条は、帳簿及び書類についてその年分の確定申告期限の翌日

から起算して7 年間保存すべき旨規定(同条1 項及び4 項)するとともに、当該期間

保存すべき書類として、現金の収受若しくは払出しに際して作成された書類を掲げ

ています(同条1 項及び3 項)。

ご質問の、飲食業を営むA さんが作成した「店舗の売上に関する会計伝票及びレ

ジペーパー」は、現金の収受若しくは払出しに際して作成された書類と認められま

すから、上記期間保存すべきものに当たります。

以上により、A さんは、青色申告の承認を受けた飲食業に関する書類の備付け及

び保存を所得税法第148 条1 項に規定する財務省令で定めるところに従って行って

いないという事実がありますから、所轄税務署長がA さんに対する青色申告の承認

を取り消すことができることとなります。

経営セーフティ共済の損金算入と別表添付の関係について

 

質問

当初申告要件と、別表10(6)について

当社は過年度において経営セーフティ共済に掛け金を約800万円拠出し、

支払保険料として経理処理し損金算入しておりました。

しかし、本来は、経営セーフティ共済の損金算入には別表10(6)特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書の添付が必要なところ、

過年度において一度もこの明細を添付しないまま当初申告をしております。

この経営セーフティ共済はすでに解約済みで、拠出した800万の全額が

返戻され、すでに雑収入として処理し、益金に計上されております。

上記の前提の上で、

質問1)税務調査がある前に、別表10(6)を税務署に追加提出すれば、

これは当初申告要件を満たしたことになりますでしょうか。

(期限内申告を1回だけしており、その後修正申告をしていない前提で)

質問2)過年度において明細の添付をせず800万を損金計上したとはいえ、

すでに解約返戻金を益金計上している状況であれば、

もし仮に損金計上が否定されれば、

益金計上も否定されるべきだという論理には無理があるでしょうか。

以上、よろしくお願い申し上げます。

 

回答

当初申告要件について

1. 特定の基金に対する負担金等の損金算入特例制度においては、確定申告書に損

金算入に関する明細書(別表10(6))の添付がない場合においては適用されない

こととされています。ただし、その添付がなかったことにつきやむを得ない事情

があると認められる場合において、当該明細書の提出があったときは認めること

とされています(措置法66 の11②)。

また、この特例制度の適用を受けようとする場合は、それを記載した適用額明

細書を法人税申告書に添付しなければならないこととされています(租特透明化

法3①)。

ご照会事例については、確定申告書に当該明細書を添付しなかったことにやむ

を得ない事情があったといえるかどうかの事実認定の問題となります。

この点については、単なる添付漏れがあった場合には「やむを得ない事情」に

当たらないと解されており、そのほかに添付することができなかった相当の事由

がない限り本特例制度の適用はないことになります。

本件については、その文面の限りにおいて、やむを得ない事情があると認めら

れませんので、本特例制度の適用は認められないと解するのが相当と思われます。

(注) 平成23 年12 月税制改正における当初申告要件及び適用額の制限に関する

改正事項には、本特例制度は含まれていませんので従前の例によることにな

ります。

2. 基金の負担金の税務上の取扱いは、従来から寄附金との相違が必ずしも明らか

でないことから、特定の基金のうち長期にわたって使用又は運用される資産に係

る負担金の損金算入については、措法66 条の11 において定められています。

したがって、損金算入に関する要件を満たしていない場合には、当該負担金の

額は基金に対する寄附金として処理されることになろうかと考えられますので、

掛け金の支出時においては寄附金とし、解約返戻金の受領時においては益金に算

入することになると思われます。

ただし、本制度及び中小企業倒産防止共済法制定趣旨並びに既に当該共済契約

を解約していること等を総合勘案すると、実務的には、強いて税務否認はしない

ものと思われます。

共有名義不動産(借地権)の居住用3000万控除の適用について

 

(質問)

A氏は母親とともに建物を1/2ずつ共有していますが、
この建物が存在する土地は地主から借地しています。
借地契約は従来はA氏の父名義で締結されていましたが、
父の死亡以降はA氏単独名義で更新されています。
この度地主から、借地権と建物を買い取りたい旨の打診を受け、
地主へ売却を行いました。
売却後は、A氏と母はこの物件に引き続き居住(次の住まいが建築中のため地主から賃借する)しています。
ご質問1)
本件譲渡代金の配分および譲渡所得の申告については、
A氏と母で1/2ずつ行うのと、
借地権を考慮してA氏に大部分を配分するのと、どちらが税務上合理的でしょうか。
ご質問2)
A氏と母の住民票の住所に変化はないことになりますが、
居住用財産の3000万控除の特例の適用はあるでしょうか。

 

 (回答)

「譲渡代金の配分その他」に係るご照会について
ご照会文を拝見する限りでは、次のとおりです。
質問1について
建物の共有持分は明らかですが、この持分で借地権を準共有していると決めつけ
ることはできないものと思います。また、単独名義での更新がなされているとして
も、それが単なる「形式」に過ぎないものとすれば、このことも決定打にはならな
いものと想像します。そうであるとすれば、遺産である、借地権についての遺産分
割協議で誰が承継したのかに従って判定をするしか方法がないものと考えます。仮
に、遺産分割協議が未済であれば、これから分割をすればよいものと考えます。
上記の借地権の帰属と、建物の共有持分(2 分の1)に従って、譲渡代金総額の
配分をすることになります。
質問2について
上記のとおり、どのような配分になるのかについては、分かりませんが、住民登
録とは直接的な関係になく、各人につき、適用要件を満たせば特例の適用を受ける
ことができます。

国内払の範囲と源泉徴収税額の還付(非居住者の源泉所得税)

〔質疑事項〕

 国税庁タックスアンサー(添付)では、「非居住者や外国法人(以下「非居住者

等」といいます。)から日本国内にある土地等を購入して、その譲渡対価を国内で

支払う者は、非居住者等に対して対価を支払う際に、10.21%の税率で、所得税及

び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。」とあります。

 この度、非居住者Aから非居住者Bに日本国内の不動産が譲渡され、譲渡代金は

非居住者Aの海外口座から日本の不動産仲介業者Cの国内口座に振り込まれ、不動

産仲介業者Cの国内口座から非居住者Bの海外口座に振り込まれます。

質問 1)

 この場合にも、「譲渡対価を国内で支払った」ものとして源泉徴収の対象になり

ますでしょうか。

質問 2)

 仮に、源泉徴収の対象になる場合、非居住者Aは所得税の譲渡所得の確定申告を

することにより、徴収された源泉所得税の還付を受けることができるでしょうか。

 なお、譲渡所得はゼロと仮定します。

〔回答事項〕

 ご案内のとおり、我が国において非居住者等とされる者に対し日本国の課税権が

行使される場合は、当該非居住者等が、所得税法第 161 条に規定される、いわゆる

国内源泉所得を得た場合に限られます。

 そのうち、一定の対価等について、その支払が国内で行われた場合には、その支

払者は、支払の際に所得税の源泉徴収をし、その徴収した税額を所轄税務署に納付

しなければならないこととされています。

 また、その支払が国外で行われた場合であっても、その支払をする者が日本国居

住者等である場合、又は日本国内に事業所等の拠点を有するときには、その支払は

国内で支払われたものと見做して上述の源泉徴収義務の履行が求められます。

質問 1)について

 前述のその対価等が国内で支払われたものか、国外で支払われたものかという判

定に関し、所得税法又は所得税基本通達で直接的にこれを規定しているもの、或い

はこれに触れているものはない と理解しています。

 そこで、この問題に関して、その解釈指針となるものとしては、所得税基本通達

 

181~223 共-1(支払の意義)の取扱いが挙げられるものと考えられます。

 即ち、当該通達は、源泉徴収に関する全体の共通事項を定めているものですが、

当該通達の趣旨は「支払とは、支払債務が消滅する一切の行為である」としている

ところです。

 ご質問の事例で、所得税法が予定している支払は、どの段階で行われているのか

といえば、①非居住者B((注)ご質問の記載内容では非居住者Aとなっていますが、

同人は譲渡者であると認められますので、対価の支払者は非居住者Bであろうかと

存じます。)から日本国の不動産仲介業者Cに送金された段階では、CがAから代

理受領の権限を与えられている場合は別として、一般的には、仲介業者への支払で

は未だBの支払債務が消滅したと解することはできず、②不動産仲介業者Cから非

居住者Aに対して送金された段階において初めて非居住者Bの不動産取得の対価

に係る支払債務が消滅したと解することが相当であろうと考えます。

 不動産仲介業者Cの非居住者Aへの送金行為を法的にどのようにみるかという

問題がありますが、通常(利害が相反する関係においては別として)、不動産仲介

取引の手続面では、仲介業者が売主・買主双方の実務的な代理を務める場合が多い

ように思われます。だとすれば、この場合も、一種の代理行為として送金手続を実

行したものと解することが相当と考えます。

 既往の国税庁の取扱いのなかに、いわゆる代理支払も、源泉徴収に関する法条で

いう「支払」に該当するとした事例があります。

 具体的な日時は記憶しておりませんが、報酬料金の支払に関して国内払か否かと

いう点で問題となった事案と承知しています。

 その具体的な事例は、海外の事業会社が、取引の関係にある国内の事業会社に対

し、日本国内に居住する個人に対する源泉徴収の対象となる報酬料金の支払の代理

を委託し、国内の事業会社がこれを履行したものについて、国税庁は、国内におけ

る代理支払も法条でいう「支払」に含まれるとして、国内の事業会社に対して所得

税の源泉徴収義務が生ずる とした取扱いであったと承知しています。

 この解釈論理が現在でも有効であるとすれば、ご質問の事例においては、非居住

者Bの支払債務が消滅する行為が国内で行われている場合にあっては、その支払は

国内で行われていると解することが相当であろうと考えます。

質問 2)について

 不動産の譲渡者である非居住者Aは、日本国内に恒久的施設を有しない者である

ものとして検討を致します。

 所得税法第 164 条第 1 項第 2 号に規定する国内に恒久的施設を有しない非居住者

については、所得税法第 161 条第 1 項第 5 号に規定する所得について同法第 165

条第 1 項の規定により総合課税の対象とされ、総合課税(所得額ゼロ)の結果、源

泉徴収税額は還付対象となるものと考えます(所得税基本通達 164-1 表 5④参照)。 

従業員の横領に関する課税関係について


 A社では従来から、甲社長の個人財産に関する管理について、一部使用人乙に任せておりました。
 この度、A社の通帳上で、甲社長から借り入れた役員借入金の返済が行われていたにもかかわらず、甲社長の通帳に入金がない事態がおこり、
 不審に思って調査したところ、
 使用人乙が甲社長名義の預金口座を勝手に作成し、
 その口座に役員借入金の返済の形をとって振り込みをしておりました。
 ネット銀行のため本人確認が甘かった様です。
 (使用人乙は私的にそのお金を流用していたものと推測されますが、刑事事件などになっているわけではなく、流用の事実は必ずしも明確ではありません。)
 その後、甲社長は使用人乙を解雇するとともに、
 借入金の返済を偽装した金額について、使用人乙の退職金として経理処理を
 し、決算を行いました。
 (ご質問1)上記退職金は本来の退職金の形とは異なっていますが、
 法人税法上の損金として認められる余地がありますでしょうか。
 (使用人乙が横領をしたかどうかの事実さえも明瞭とはいえない状況下で、
  さらに乙側は解雇されただけであり退職金の受領の認識はないはずです)
 ※本来はA社が使用人乙に対する求償権を有し、その求償権を放棄した場合または、
 貸倒損失の事由に該当した場合のみ損金計上が認められるものと理解しております。
 (ご質問2)本件に関して法人税法上の役員賞与や使途秘匿金の課税の特例の認定を受ける可能性はありますでしょうか。

 

回答

従業員の横領に関する課税関係について
1. ご照会事例の事実関係からすると、乙は、A社の使用人であると同時に甲との
間に個人財産管理に関する委任(民法634)又は準委任(民法656)の関係にあると
考えられます。
このような考え方からすると、A社は法人の意思として借入金の返済を行った
ものであり、乙は甲の個人財産の一部を横領したものであると解するのが相当と
考えます。したがって、横領した当該金銭については、甲が乙に対する損害賠償
(又は不当利得の返還)の求償権を有しており、法人には求償権は存在しないと考
えられます。
よって、法人にあっては、甲名義の預金口座への振り込みは借入金の返済であ
って、損金の額は発生しないものと思われます。
なお、法人が退職金を支給するかどうかは、別個の問題としてとらえるべきも
のと考えます。
2. 上記1 の考え方になり、ご質問のような税務処理はないものと考えます。

 


 

給与規定の改訂に伴い二カ月分の月給を一括して支払った場合の源泉徴収の方法
〔質疑事項〕
A社の給与は、当月月末に締め、その支払は、翌月10 日支払の社員と翌々月10
日支払の社員とがおりました。
この度、翌々月10 日支払を廃止し、翌月10 日支払に統一することになりました。
このため、一部の社員に対し、二カ月分の給与を一括して支払うことになります。
仮に、一カ月の給与を20 万円とした場合、源泉所得税の計算は、20 万円と40
万円(二カ月分合計額)のいずれを基準に行うべきでしょうか。
〔回答事項〕
当該給与の支払を受ける者が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している
者である場合には、所得税法第 185 条第 1 項第 1 号の規定に基づき所得税の源泉
徴収を行うこととなりますが、ご照会のA社の給与は、原則として、その支給期が
毎月と定められているものと認められ、原則的には同号イの規定により源泉徴収す
べき税額を算定することになりますが、たまたま支給期の改訂に当たり、二カ月分
の給与を一括して支払われることとなった者については、当該支給期に属する給与
については同号ニに規定する給与に該当するものと解することが相当であり、だと
すれば、一カ月分の給与(20 万円)について月額表に基づき算出した税額に2 を
乗じて計算した金額に相当する税額をその支払に当たって源泉徴収すべきものと
考えます。
当該給与の支払を受ける者が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していな
い者である場合には、同項第 2 号の規定に基づき、上記と同様の処理を行うべき
ものと考えます。

税務における前期損益修正について
A社では28年3月期において、店舗の小口現金経費200万円の経理処理を失念し、
決算を組み、法人税・消費税の申告を行ってしまいました。
この場合において税務上は28年3月期の更正の請求を行うとともに、
29年3月期において修正経理を行い、29年3月期に計上する前期損益修正損については別表否認することになるかと思われます。
質問1)
この場合において、更正の請求が認められるかどうかの課税庁の判断基準は、
必ずしも29年3月期決算において修正経理したことを確認することが必要条件ではないという認識で正しいでしょうか。
質問2)28年3月期において小口現金経費の計上を失念していたことからも明らかなとおり、当該法人の決算においてBSの小口現金を正しい残高で計上することができておりませんでした。
このことについては別表5において小口現金計上漏れの調整が行われるべきかと思いますが、
そのほかに法人税法上危惧すべき問題点がございますでしょうか。
質問3)消費税の更正の請求について
本件小口現金については、当時から小口現金出納帳が記帳されておりましたが、店舗における小口現金担当者と、本社の経理担当者との認識違いにより、
結果的に計上漏れとなりました。
28年3月期の決算における総勘定元帳への反映こそ失念いたしましたが、
消費税法上の帳簿保存要件は満たしていると考えておりますが、問題ないでしょうか。

 

前期損益修正(小口現金経費の失念)について

 ご照会の件につきまして、次のとおり回答させていただきます。

(質問1・2について)

 小口現金経費の経理処理の失念とありますが、当該取引の債務の確定が平成 28

年 3 月期としますと、同期の損金の額に算入すべきものとなりますので(法人税法

22 条 3 項二号)、そうしますと、国税通則法 23 条 1 項一号に該当し、更正の請求

をすることはできるものと考えます。

なお、前期損益修正との関係につきましては、法人税基本通達 2-2-16 にありま

すような契約の解除、取消し、値引き、返品等の事実が、平成 29 年 3 月期におい

て生じたものではありませんので、添付していただいた裁判例で示されているとお

り更正の請求で対応することが相当であると考えます。

 今回の更正の請求(事由)は、損金の額の帰属事業年度の誤りを是正するもので

あり、また、ご照会の事例は、「事実を仮装して経理したところに基づくもの」(法

人税法 129 条 1 項)には該当しないものと解されますので、修正経理の確認は必要

条件にはならないものと考えます。

(備考)上記の法人税基本通達 2-2-16 を根拠として、解約等があった場合でも遡

及して訂正を行わないのであるから、単純な誤りを訂正するような場合には、

誤りを発見した事業年度において前期損益修正損を計上し、計上した事業年度

の損金の額に算入することも認められるとの見解もあろうかと思います。この

場合には、「単純な誤り」の範囲をどのように捉えるのかという別の問題が生

じ、私見は、上記のとおり、更正の請求により是正すべきものと考えます。

(質問3について)

 消費税法上の「帳簿」とは、同法 30 条 8 項各号に掲げる事項が記載されている

「帳簿」とされており、社会通念上帳簿という程度の体裁(日々の取引を継続的に

記録していること)を保っている必要があると考えます。

 総勘定元帳への反映はされていないものの、ご照会の文面にあります「小口現金

出納帳」に、消費税法 30 条 8 項一号各号に掲げる事項が記載されているとします

と、同項の「帳簿」に該当するものと考えます。 

 

事業と家事の用途に共通して消費又は使用するものに係る仕入税額控除

 [質問]

個人事業者の事業所得の申告において、車両の消耗品費や減価償却費、

自動車税、車検費用などの費用について、「1年分の走行距離」に占める

「個人使用等の走行距離」の割合を乗じたものを自家消費分として経費

否認(仕訳例:「事業主貸/車両消耗品費」)をしています。

この場合、貸方の「車両消耗品費」の消費税法の取扱いは、自家消費と

して課税売上げになるのでしょうか。それとも経費の減少で課税仕入れ

のマイナスとなるのでしょうか。

また、消費税法第4条第5項第1号《個人事業者の家事消費等》との関

係はどのようになるのでしょうか。

 

 [回答]

消費税法の取扱いにおいて、個人事業者が資産を事業と家事の用途に共通

して消費し、又は使用するものとして取得した場合、その家事消費又は家

事使用に係る部分(消費者の立場で購入した部分)は課税仕入れに該当せ

ず、個人事業者が事業として消費し、又は使用する部分のみが課税仕入れ

に該当することになるとされ、この場合において、その資産の取得に係る

課税仕入れに係る支払対価の額は、その取得の時にその資産の消費又は使

用の実態に基づく使用率、使用面積割合等の合理的な基準により計算する

ものとされています(消基通11-1-4)。

このことから、事例の場合、その事例照会の内容からみて、個人事業者が

取得した車両や消耗品等は、その個人事業者が事業と家事の用途に共通し

て消費し、又は使用するものであるとして検討しますと、その個人事業者

が取得した車両や消耗品等については、その個人事業者が事業として消費

し、又は使用する部分のみが課税仕入れに該当し、その課税仕入れに係る

支払対価の額は、その取得の時にその車両や消耗品等の消費又は使用の実

態に基づく使用率等の合理的な基準により計算することになると考えます。

また、消費税法第4条第5項第1号《個人事業者の家事消費等》の規定は、

個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたも

のを家事のために消費し、又は使用した場合におけるその消費又は使用は、

事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなすとされているものであ

り、事例の場合、個人事業者が車両や消耗品等を事業と家事の用途に共通

して消費し、又は使用するものとして取得したものには、この規定は適用

されないと考えます。

取引先救済のための値引きの合理性について

(質問)

 A社では取引先B社の経営不振により、取引金額を過去6か月に渡り、

 さかのぼって単価引き下げすることを要請され、

 やむを得ず応じることを検討しております。

 本件の場合、A社とB社は同族関係になく、

 恣意的な利益調整の意図はありませんが、

 税務上、値引きの合理性を証明するための資料の保存は必要でしょうか。

 また、この場合にはA社の社内稟議書や、B社からのメールを保存すれば足りるでしょうか。

 よろしくお願い申し上げます。

(回答)

取引先救済のための値引きについて

 棚卸資産の販売に係る収益計上時期は、その棚卸資産の引渡しがあった日の事業

年度とされており(法基通 2-1-1)、その計上額は販売契約等により確定した額と考

えられます。したがって、確定した債権の額の一部を免除することは相手方に対す

る寄附金とするのが原則的な処理と思われます。また、将来にわたり継続的に値引

き販売する場合には、その値引きすること及び値引割合等に合理的な理由が必要と

考えられ、その合理性がないと認められるときは当該値引き額は相手方に対する贈

与と考えるのが相当と思われます。

 ところで、法人がその子会社等(取引関係等において事業関連性を有する者を含

みます)に対して金銭の無償貸付け又は債権放棄等(無利息貸付等)をした場合にお

いて、業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理

的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当

な理由があると認められたときは、その無利息貸付等により供与する経済的利益の

額は、寄附金の額に該当しないものとされています(法基通 9-4-2)。

 ご照会事例については、B社のA社との取引の割合、経営状態、再建計画等の有

無、A社以外の支援者の有無等が定かでありませんので当該経済的利益の供与が寄

附金となるかどうかの判断はできかねますので、上記取扱いを参考として貴事務所

でご判断ください。

 なお、当該経済的利益の額を寄附金以外の単純損金として処理するためには、当

該取扱いに該当することを疎明する資料が必要なことはいうまでもありません。し

たがって、A社の社内稟議及びB社のメールのみでは疎明資料としては十分でない

と思われます。 

不動産仲介業の経理処理と消費税区分について

 (質問) A社(賃貸住宅に関する不動産仲介業)では、

 アパートの賃借希望者から敷金や日割り家賃と仲介料を一度に入金してもらい、

 その中から、大家さんに敷金や日割り家賃を支払い、 仲介料が手元に残り、収益となっております。 前期までこの会社では入金額全てを売上高とし、

 支払金額すべてを仕入れ高とし、「預り金」の科目を使わずに経理処理を行ってきておりました。

 このたび、税理士が変わり、仕入れ高として経理処理した金額のうち「敷金・日割り家賃」相当額について仕入税額控除することはできないのではないかと

 いう疑問を持った次第です。

 仮に税務調査で指摘を受けた場合には、仕入れから課税仕入れに該当しない金額を除外すると同時に、

 売上から課税売上に該当しない金額を除外することは可能(税務署から認められる)でしょうか。

 物件1件ずつの敷金や日割り家賃の額は書類から把握可能ですが、 会計帳簿(仕訳帳や元帳)には全く反映されておりません。

(回答)預り金を課税売上としていた場合の事後処理の方法

相続した外貨預金を日本円に換金する場合の為替差益の雑所得の計算について

(質問) 相続により取得した不動産については、被相続人の取得日や取得費を引き継ぐ計算により譲渡所得が計算されますが、

 外貨預金についても被相続人の取得時に払い込んだ円貨額と、

 今回の換金時に支払いを受ける円貨額との差額を雑所得を認識すればよろしいでしょうか。

 また、被相続人の当初払い込んだ円貨額が不明な場合には、 何か別の方法により計算することが可能でしょうか。

個人から法人への不動産売却の妥当な譲渡価格について

 (質問)個人で不動産賃貸業を営んでいるA氏は自ら設立した同族法人Bに対して、

 1棟の賃貸物件を譲渡することを計画しております。

 通常であれば青色決算の帳簿価額で譲渡することも選択肢になるものと

 思われますが、

 当該物件は都内の駅近物件であり、

 法定耐用年数経過済みの木造アパートです。

 そのため中古耐用年数の適用により耐用年数4年という極端に短い期間での

 減価償却を行っており、

 この償却後の簿価が妥当な取引価格であるかどうかについて疑念があります。

 現実には当面建て替えの必要性はなく、高い賃料収入を維持できている物件であるためです。

 このような場合、簿価で低額譲渡する場合の税務上のリスクとしてどうような問題がありますでしょうか。

 税務署が簿価譲渡を否認する可能性は高いものでしょうか。

(回答)「譲渡価額その他」に係るご照会について

ご照会文を拝見する限りでは、次のように考えます。なお、課税要件事実の認定

に関わる事柄ですので、以下では、感想をのみ述べさせて戴きます。

主宰法人に対する譲渡であること、駅近物件であること、中古物件であること及

び高賃料物件であること等であることからすると、やはり、簿価=通常の取引価額

(いわゆる時価額)と決め受けることはできないものと考えます。

そうしますと、不動産鑑定士等の鑑定評価額や、精通者意見価格その他によるし

か方法がないものと考えます。 

減価償却費の損金算入と別表16添付について

 (質問)法人Aは確定決算において設備造作の減価償却費を損金経理し、

 固定資産台帳を添付して申告を行っております。

 この度、別表16について、一切空欄のまま申告書に添付してしまったことが発覚いたしましたが、

 法人税法施行令63条1項及び2項の規定からは下記①②が読み取れますので、

 ①減価償却費の計算明細を添付しなければならないと規定されているが、

 添付しない場合には損金算入を認めない旨の規定にはなっていない。

 ②第2項の条文により必ずしも別表16でなくとも減価償却の種類の異なるごとの合計額の明細を添付していれば足りる、こととされている

 損金算入に支障がないものと理解しております。

 このような見解は正しいでしょうか。

 ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。

(回答)減価償却費の損金算入と別表 16 添付について

 ご照会の件につきまして、ご指摘のとおり損金算入を認めない旨の規定にはなっ

ておりませんが、法人税法施行令 63 条 1 項においては、「その有する減価償却資産

につき償却費として損金経理をした金額がある場合には、・・・確定申告書に添付

しなければならない」と義務付ける規定振りとなっておりますので、義務違反をし

た場合の法的効果は必ずしも明らかではありませんが、損金算入の前提ともいうべ

き規定になっております。

この場合に、「明細書」の書式は、法人税法施行規則 34 条 2 項の規定により、法

人税法施行規則別表で法定され、当該書式によらなければならないこととされてお

ります。

法人税法施行令 63 条 2 項においては、所定の記載をした合計表を添付した場合

には、同条 1 項の明細書を保存している場合に限って、添付を省略する規定ですの

で、ご照会の事例に直接当てはまるものではないと思料されます。

ご照会は税務調査等で俎上になっているのか不明ですが、ご照会の事例において

は固定資産台帳を添付しているとのことですので、当該固定資産台帳の書式、記載

事項等如何にもよりますものの、その記載事項が別表 16(1)等で定められている所

定の記載事項の内容を充足している場合には、当該固定資産台帳を添付することで、

法人税法施行令 63 条 1 項を満たしていると解して差支えないという整理(主張)

を行うべきではないかと考えます。

 

社内規程及び人事評価マニュアル作成費用の損金算入について

 (質問)A社ではこの度、外部のコンサルティング会社に委託して、 社内の労務に関する就業規則などの諸規程の作成及び、 人事評価マニュアルの作成を委託いたしました。

 費用は700万円と高額にのぼっておりますが、 この金額はマニュアルの納品を受けた年度の損金として計上が可能でしょうか。

 もしくは繰延資産等に資産計上し、減価償却の必要がありますでしょうか。

 なお、この700万円のうち350万円はマニュアル作成費用、

 残り350万円はマニュアルの運用にまつわるコンサルティング費用という 内訳になっております。

(回答)社内規定及び人事評価マニュアル作成費用について

 ご照会の件につきまして、社内規定の整備等は、全社的な取り組みの一環として

行われるものでありましょうし、当該整備等の効果は、労務政策の円滑化、コンプ

ライアンス対応等、当該年度以降の事業年度に及ぶものと考えますので、一時の損

金の額として処理するのは相当でないと考えます。当該費用の効果をいう観点を踏

まえますと、繰延資産として処理するのが相当と考えます(法人税法施行令 14 条

1 項六号ホ)。また、マニュアルの運用のための費用は減価償却資産における事業

供用のために要する費用と同様、作成費用と一体として取り扱われるべきものと考

えます。

この場合の償却期間は、百科事典が器具及び備品として減価償却資産(耐用年

数:5 年)として取り扱われていますが、この場合の耐用年数を参照することが考

えられます。 

市街地価格指数による借地権の譲渡所得の取得費の計算について

 (質問)

昨今、譲渡所得における土地建物の取得費の計算について、必ずしも概算取得費の5%を使用せず、市街地価格指数に基づき推測した当時の取得費を使用して申告するという考え方が税理士業界で広がりを見せ、

 何人かの税理士から市街地価格指数による申告について、いったん税務調査で議題にのぼったものの、最終的には是認されたという情報があります。

 今回の譲渡物件は借地権付き建物なのですが、

 取得費の根拠資料(借地契約や権利金の領収書)は紛失してしまっております。

 そこで市街地価格指数による土地の価格に対し、当時の借地権割合(路線価図による)を乗じ、借地権の取得費を計算するという方法には、

 一定の合理性を感じるのですが、いかがでしょうか。

 もし決定的に誤りであったり、リスクが大きければご教示いただきたく、お願い申し上げます。

 

(回答)

市街地価格指数による借地権の取得費の算定について

 譲渡所得の計算上、取得費が不明の場合には、概算取得費を使用するのが一般的

ですが、登記資料等により取得時期は明らかであるのに契約書等がなく取得価額が

不明である場合において、合理的な説明ができる場合には、概算取得費に代えて取

得費を推計する方法が実務上認められています。

 たとえば、譲渡所得の計算明細書の記載の仕方において、建物の標準的な建築価

額表を掲げており、建築年分と建物の構造から、その年分の標準的な建築価額を使

用して建物の取得価額を計算することが認められています。

 したがって、登記資料等で建物の取得時期を証明するものがあれば、売却価額か

ら土地の価格指数等によって土地等の取得費を算定することは、実務上も認められ

ているところです。 

役員の業務中のけがに基づく治療代の負担について

(質問)A社の代表取締役は取引先の接待でバイクのツーリングに出かけ、

バイクの転倒により骨折し、入院代として40万円がかかりました。

この場合、A社は取引先の接待行為中の事故として、

労災に準じて治療費の全額を代表取締役に対して支払う考えですが、

法人税法上の損金算入及び代表個人の給与所得課税の観点から、

税負担が発生すると考えるべきでしょうか。

国税不服審判所、2002.06.13裁決では役員の傷病見舞金を一入院あたり

5万円が妥当と判決がされましたが、

本件の場合は事故が業務中であったことから、(接待交際とはいえ)

社会通念上、会社として全額を支払うべきではないかと考えております。

もし福利厚生規程・傷病見舞金規程などを事前に備えておく必要があれば、

ご教示いただければ幸いです。

(回答)役員の業務中のけがに基づく治療代の負担について

 所得税法上、雇用関係等に基づいて支給される経済的利益は、原則として、給与

所得に該当することとされていますが、災害等の見舞金でその金額が受給者の社会

的地位、法人との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、

課税しないこととされています(所法 9①十六、所令 30 三、所基通 9-23)。

 ところで、入院費用は個人的経費であり、本来は、法人が負担すべきものではあ

りませんが、その行為が法人の業務の遂行上必要と認められる場合において、その

行為を行っている中での事故等により入院せざるを得ない状況である場合には、そ

の費用を法人が負担したとしても、社会通念上必要とされる金額の範囲内程度であ

れば、非課税とされる「相当の見舞金」として取り扱って差し支えないとされてい

るようです。

 一方、法人税法上においては、役員給与の額には経済的利益の額が含まれること

とされています(法 34④)が、病気見舞、災害見舞等のような社会通念上の純然た

る贈与は、この場合の経済的利益とはならないとされています(法基通-2-9)。また、

法人が役員に対して経済的な利益を供与したものであっても、その経済的利益が所

得税の課税の対象とされない程度のもので、法人がこれを給与として経理しなかっ

たものであるときは、これを役員給与として取り扱わないこととされています(法

基通 9-2-9、9-2-20)。

 ご照会事例については、当該ツーリングが業務遂行上必要と認められる行為であ

るとの前提においては、その入院費用としての実費相当額(保険金がある場合には、

その保険金の額を控除した金額)は、相当の見舞金として役員給与には含まれない

と考えます。

 しかしながら、当該ツーリングが業務遂行上必要と認められる行為であるかどう

かの判断が必要となります。ご照会文面では、当該ツーリングの主催者、参加者の

規模、参加者と法人との関係等が定かでありませんので、これらの事実関係を総合

勘案して判断することになりますが、一般的には、代表取締役の個人的な趣味の範

疇にあるものと考えられます。したがって、当該ツーリングが法人の業務遂行上必

要でないとの事実認定がなされた場合には、その入院費用は代表取締役に対する給

与とされ、当該給与は定期同額給与又は事前届出給与のいずれにも該当しませんの

で損金不算入となります。

 (注)平成 14 年 6 月 13 日付裁決は、一般的な病気見舞金の範囲を示しているもの

であり、本件ツーリングが法人の業務遂行上必要と認められる行為である場合

 

には、「相当の見舞金」として取り扱われますが、当該ツーリングが法人の業

務遂行上必要なものでないとの事実認定がなされた場合には、一般的な見舞金

を超える部分の金額が役員給与とされます。

 なお、福利厚生規程等の創設が、本件のためのものである場合には、回答者とし

てコメントは控えさせていただきますが、いずれにしても、社会通念上合理的と認

められる諸規程の整備は望ましいと思われます。 

越境EC事業者が日本の倉庫転送サービスを利用する場合の消費税還付等について

(質問)

非居住者が日本での仕入れにより消費税還付申告を行う場合について

 非居住者Aは日本のECサイト楽天により商品を注文し、

 商品はいったん日本国内の倉庫会社に納品されたうえで、

 倉庫会社の転送サービスにより国外のエンドユーザー(Aの顧客)に

 対して直接輸出されます。

 (ご質問1消費税について)

 この場合は、非居住者Aは日本国内において課税仕入れを行っていることには間違いないと思いますが、

 資産の譲渡等を日本国内において行った取り扱いになりますでしょうか。

 ※ 納税管理人を立てて消費税還付申告を行うことを検討しております。

 (ご質問2法人税について)

 この場合、非居住者Aは日本国内において倉庫(他の利用者と共用の転送サービス)しか有さないこととなりますので、

 AmazonのPE認定事件の考え方からすると、

 法人税の申告義務はないと理解してよろしいでしょうか。

 Amazonの判決では日米租税条約が判断材料になったと聞いておりますが、

 今回の非居住者Aは中国在住の自営業者となります。

 よろしくお願い申し上げます。

 

(回答)

ECサイトを利用した取引に係る消費税の課税関係

 消費税は、国内において事業者が課税仕入れを行った場合には仕入税額控除をす

ることとしています(消法 30①)。

 この場合の課税仕入れとは、他の者から資産の譲渡、資産の貸付又は役務の提供

を受けることをいい(消法 2①十二)、事例の場合には資産の譲渡取引ですから国

内において資産の引渡しがされている場合には国内において行う課税仕入れに該

当し仕入税額控除の対象になるものと考えます。

 また、商品を国外に輸送する場合には輸出免税の対象になります(消法 7①)。

 事例においては、Aと国内の事業者との取引及びエンドユーザーとの取引関係が

明確ではありませんから断定的な回答は困難です。

 これらのことを前提として質問の範囲内で考えられることを踏まえて検討する

と、次のとおりとなります。

1 Aが国内の事業者から仕入れてそれを輸出している場合

 国内事業者の売上先がAとなっており、Aに対して消費税等が請求されている

場合には国内事業者のAに対する課税売上げ及びAの課税仕入れに該当し、Aに

おいて仕入税額控除の対象になるものと考えます。

 この場合において、国外への転送サービスに係る輸出申告の輸出者がAになっ

ている場合にはAにおいて輸出免税の適用がありますが、輸出免税の適用を受け

るためには税関長の輸出許可書の保存が必要となります(消法 7①、②、消規 5

①)。

2 Aが国内事業者とエンドユーザーの取引を仲介している場合

 国内事業者の売上げ先がエンドユーザーとなっており、国内事業者が転送サー

ビスを利用して輸出している場合には、輸出免税の適用者は国内事業者となり、

Aは仲介手数料を消費税の課税売上げとすることになるものと考えます。 

 

国内に有する共用倉庫が恒久的施設に該当するかどうか

 確かに、倉庫は、倉庫業者がその事業の用に供するものだけが、恒久的施設に該

当します(法法 2 十二の十八イ、法令 4 の 4①一)。

 

 一方、外国法人のために、顧客の通常の要求に応ずる程度の数量の資産を保管し、

かつ、その資産を顧客の要求に応じて引き渡す者(在庫管理人)は、恒久的施設に

該当します(法法 2 十二の十八ハ、法令 4 の 4③二)。

 ご照会の場合には、この在庫管理人に該当する場合には、この恒久的施設

に帰属する所得は、申告を要するものと考えます。 

当該倉庫が「顧客の通常の要求に応ずる程度の数量の資産を保管している」かどうか

が大きなポイントになると考えられます。

棚卸資産に計上するの仕入諸掛の範囲について

 (質問)

輸入貿易を営むA社では税務調査において、棚卸資産計上漏れ(輸入諸掛である関税、輸入消費税、通関手数料)などの指摘を受けています。

 法人税法基本通達5-1-1の3%基準の適用も検討したのですが、

 3%は上回っておりました。

 通達5-1-1の2の例示の通り、

 公租公課は計上しなくても良いのかとも考えたのですが、

 各種解説を読むと特に関税については棚卸資産に計上するように書かれているものが

 多いように見受けられます。

 通達5-1-1の2は算入しなくてもよい公租公課を限定列挙していると解釈すべきでしょうか。

 それとも、輸入消費税や関税など全般の公租公課について計上の必要はないという解釈でしょうか。

 (購入した棚卸資産の取得価額)

 5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要した全ての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。(昭55年直法2-15「五」、平19年課法2-17「十」、平23年課法2-17「十」により改正)

 (1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額

 (2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額

 (3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額

 (注)

 1  (1)から(3)までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、事業年度ごとに、かつ、種類等(種類、品質及び型の別をいう。以下5-2-9までにおいて同じ。)を同じくする棚卸資産(事業所別に異なる評価方法を選定している場合には、事業所ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。

 2  棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。

 (棚卸資産の取得価額に算入しないことができる費用)

 5-1-1の2 次に掲げるような費用の額は、たとえ棚卸資産の取得又は保有に関連して支出するものであっても、その取得価額に算入しないことができる。(昭55年直法2-15「五」、平5年課法2-1「四」、平15年課法2-7により改正)

 (1) 不動産取得税の額

 (2) 地価税の額

 (3) 固定資産税及び都市計画税の額

 (4) 特別土地保有税の額

 (5) 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用の額

 (6) 借入金の利子の額

(回答)

棚卸資産の取得価額について

ご照会の件につきまして、棚卸資産の取得価額を規定している法人税法施行令

32 条においては、購入した棚卸資産の取得価額につき、次のとおり定めています

(法人税法施行令 32 条 1 項一号)。

一 購入した棚卸資産(法第六十一条の五第三項 (デリバティブ取引による

資産の取得)の規定の適用があるものを除く。) 次に掲げる金額の合計額

イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、

関税(関税法 (昭和二十九年法律第六十一号)第二条第一項第四号の二

(定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入のために要し

た費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)

ロ 当該資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額

上記のとおり、ご照会の輸入諸掛は、基本的には、法人税法施行令 32 条1項一

号イの当該資産の購入のために要した費用として、棚卸資産の取得価額に算入すべ

きものと考えます。

なお、ご指摘の法人税基本通達 5-1-1 の 2 で掲げられております租税公課は、同

通達 7-3-3の 2の固定資産の取得価額に算入しないことが認められているものであ

ったり、一般的には単純な期間費用とすべきものが掲げられており、ご照会の「関

税」等は、法令で算入すべき旨が定められておりますが、これらの通達で定めてい

る租税公課とはその性質を異にするものとして整理されているものと思料します。

外国法人に支払う紹介料の源泉所得税の有無について

(質問) 

太陽光発電の販売をしているA社では、親会社である外国法人B社から、

 日本の太陽光発電に投資したいという海外の有力見込顧客の紹介を受け、

 無事成約し、B社へ紹介料の支払いを検討しています。

 B社の従業員等は今回の件に関して一切来日しておらず、

 国外において紹介業務を完了していますが、

 本件支払いはB社にとって国外源泉所得として、

 A社から支払う際に源泉徴収を要さないでしょうか。

(回答)

外国法人に対する所得税の課税標準について規定する所得税法第 178 条は、外国

法人が支払いを受ける同法第 161 条(国内源泉所得)1 項 4 号から 11 号まで及び 13

号から 16 号までの金額を所得税の課税標準とする旨規定しています。

 また、外国法人に対する支払に係る源泉徴収義務について規定する同法第 212

条 1 項も上記課税標準に係る対象と同一の国内源泉所得を支払う者に所得税の源

泉徴収義務を課しています。

 したがって、同法第 161 条(国内源泉所得)1 項 4 号から 11 号まで及び 13 号から

16 号までに規定する国内源泉所得の支払に当たらない場合は、その支払を受ける

外国法人に所得税の納税義務はなく、支払をする者にも所得税の源泉徴収義務がな

いこととなります。

 ご質問の紹介料は、上記の国内源泉所得には当たりませんので、その支払の際に

所得税を源泉徴収する必要はありません。 

 

ECサイトにおける購入者との間で買戻し契約を締結した場合の消費税の課税関

 

日本において楽天等のECサイトで商品を購入するためには日本の住所が必要となるため、

 近年、海外消費者が日本のECサイトで購入する際の「住所」を提供するサービス

 (転送サービス会社)が増加しています。

 海外消費者が自らのクレジットカードで購入した商品は、国内の住所にいったん

 納品され、転送サービス会社により輸出されることによって、

 海外消費者の手に届きます。

 この場合において、下記の質問がございます。

 (質問)現状ではこれらの輸出される商品の最終消費地は海外であることが明確ですが、いずれの時点でも日本の消費税の還付を受けることができず、

 海外消費者が日本の消費税を負担する状況になるかと思います。

 もし仮に、転送サービス会社が、海外消費者との間において、

 いちど商品を国内において譲り受ける契約を行い、

 その後、輸出販売として海外消費者に対して商品を納品する場合には、

 消費税の輸出免税の適用があり、海外消費者が税負担する状況にはならないものと思われます。

 この場合には、商品の日本出国直前に買い戻し前提の譲受が行われ、

 輸出によりもとの持ち主に商品が戻ることになるのですが、

 消費税法において買い戻しを前提とすることによる否認規定は

 ないと理解しておりますが、このような理解は正しいでしょうか?

 なお、本件売買において下記の要素は満たすものとしますが、

 購入及び譲渡のための代金決済はなく、

 購入額及び譲渡額を相殺することになる予定です。

 ・双方における購入及び売却の意思

 ・現実の納品行為

 ・在庫の破損等リスクの移転

ECサイトにおける購入者との間で買戻し契約を締結した場合の消費税の課税関

(回答)

 消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等を課税

対象としており(消法 4①)、資産の譲渡等に該当するかの判定は、原則として、

その当事者間における契約に基づき判定することとされています。

 これらのことを前提として事例について検討すれば、事例の転送サービス会社が

海外購入者との間において契約する「(海外購入者が購入した商品を転送サービス

会社が)一度国内において譲り受ける契約を行い、その後、輸出販売として海外消

費者に対して商品を納入する」取引は、買戻し約款付きの売買契約に該当し、それ

ぞれの契約における資産の譲渡として消費税の課税関係を判定することになると

考えられますから、当初の購入は国内において行う課税仕入れ、購入者への納品は

輸出としての資産の譲渡として輸出免税取引に該当するものと考えます。

 なお、取引に当たって、現実の対価の支払いがあるか、相殺によるかは消費税の

課税関係には影響しないものと考えます。 

不動産賃貸時における礼金収入の計上時期について

(質問)

 法人税及び消費税における礼金収入の計上時期については、

 「引き渡しの日」「契約の効力の発生の日」の2通りの処理が認められていると解説されておりますが、

 法人税法基本通達においては2-1-41に(保証金のうち変換しないものの額の帰属の時期)が定められているのみで、

 礼金についての記載が見当たりません。

 どのような経緯で現在の定説になっているのか、ご意見を伺えれば幸いです。

(回答)

不動産賃貸に係る礼金収入の計上時期について

ご照会の件につきまして、法人税基本通達では「礼金収入」について定めたもの

はないのかもしれませんが、家屋又は土地を賃貸することにより一時に受け取る権

利金や礼金の収益計上時期として、貸し付ける資産の引渡しを必要とするものは引

渡しのあった日、引渡しを必要としないものは契約の効力発生の日に計上すること

については、所得税基本通達 35-6 において明らかにされており、法人税法 22 条2

項の解釈としても、このような取扱いは妥当であると考えます。

(参考)所得税基本通達(抄)(頭金、権利金等の収入すべき時期)

36-6 不動産等の貸付け(貸付契約の更新及び地上権等の設定その他他人に不動産

等を使用させる行為を含む。以下 36-7 までにおいて同じ。)をしたことに伴い一

時に収受する頭金、権利金、名義書換料、更新料等に係る不動産所得の総収入金

額の収入すべき時期は、当該貸付けに係る契約に伴い当該貸付けに係る資産の引

渡しを要するものについては当該引渡しのあった日、引渡しを要しないものにつ

いては当該貸付けに係る契約の効力発生の日によるものとする。ただし、引渡し

を要するものについて契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告が

あったときは、これを認める。 

非居住者に対する役務提供の輸出免税の範囲について

(質問)

 下記事例について、輸出免税に該当するか否か、ご教示のほどお願い申し上げます。

 事例1)外国法人である旅行会社(日本に支店なし)の依頼をうけ、日本国内の免税店に商品説明のための通訳スタッフを派遣して販売の補助をしたことによる人材派遣売上

 旅行会社に対する役務の提供であり、外国法人である旅行会社が、

 外国において便益を享受するので免税売上でOKでしょうか。

 事例2)非居住者である個人が納税管理人を指定しており、

 その納税管理人と税理士とが顧問契約を結んだ場合の税理士報酬。

 契約当事者はあくまで日本にいる納税管理人ですが、代金の負担者は非居住者であり、

 非居住者のための役務提供のため免税売上でOKでしょうか。

(回答)

非居住者に対する役務の提供に係る輸出免税の対象の範囲

 消費税は、国内において行われる課税資産の譲渡等のうち輸出取引及び輸出類似

取引に該当する一定の取引について輸出免税としています(消法 7①、消令 17)。

 事例の非居住者に対する役務の提供は、原則として輸出免税の対象としつつ、国

内に所在する資産に係る運送又は保管、国内における飲食又は宿泊、これらに準ず

るもので、国内において直接便益を享受するものは輸出免税の適用対象から除くこ

ととされています(消令 17②七)。

 これらのことを前提として事例について検討すると、次のとおりとなります。

事例 1 について

 事例 1 の内国法人が行う外国法人に対する役務の提供は、外国法人の日本国内に

おける事業活動の補助的業務といえるものであり、上記の輸出免税の対象から除か

れるものにも該当しないと認められますから、非居住者に対する役務の提供として

輸出免税の対象になるものと考えます。

事例 2 について

 事例 2 の税理士が行う業務は、非居住者が指定した納税管理人がその業務を行う

ための税務手続等を税理士に委託したものと認められ、税理士が行う役務の提供の

相手先はあくまでも居住者である納税管理人と認められます。

 輸出免税の判定においては、代金の負担者により判定するのではなく、役務の提

供の相手方が非居住者かどうかで判定すべきものですから、事例における役務の提

供の相手方が納税管理人である限りは輸出免税の対象にならないものと考えます。

 少額資産の判定につきまして

 この度ビットコインのマイニング(添付を参照くださいませ)のため、

 パソコンやグラフィックボードを大量に用意したいという企業があり、

 複数の会社から投資を募ることを検討しております。

 投資もとの会社にはパソコン(単価10万円未満)及びグラフィックボード(単価10万円未満)を複数購入いただき、

 貸与いただいて賃借料をお支払いします。

 この場合において、投資元の企業において少額資産として損金算入可能かどうかご教示いただけないでしょうか。

 利用の状況としては、

 ビットコインのマイニングにおいては、一台のパソコンに5枚以上のグラフィックボードを組み合わせて使うことが一般的であり、

 全体として50台から100台を使用いたします。

 しかし、最小の単位としてはパソコン1台でマイニングができないという事はございません。

 

少額資産の判定について

 ご照会の件につきまして、その取引について十分に理解できておりませんが、取

得価額 10 万円未満の減価償却資産は、事業の用に供した日の属する事業年度にお

いて損金経理することにより、その取得価額を損金の額に算入することができるこ

ととされています(法人税法施行令 133 条)。この場合の取得価額が 10 万円未満で

あるかどうかは、通常 1 単位として取引されるその単位ごとに判定することとされ

ておりますので(法人税基本通達 7-1-11)、基本的には、パソコンおよびグラフィ

ックボードの取引される単位で判断していただくことになると考えます。

(備考)貸付先は1社になるのでしょうか。締結される賃貸借契約の記載文言や内

容を踏まえ、取引を一体的に捉えて、「取引される単位」の解釈も(単純に)1

台・1 機とならない場合もあり得ると考えます。 

再委託していない金額が寄付金になるかどうかについて

 A社、B社、C社が国際的な同族グループ企業だとします。

 B社は内国法人ですが、A社、C社は外国法人です。

 Aは持ち株会社で従業員数0、ペーパーカンパニーです。

 この場合に、B社はA社に対して業務を100で委託し、

 A社はC社に業務を60で再委託しているとします。

 内国法人であるB社にとっては、再委託していない40を寄付金として損金不算入にしなければならないでしょうか?

 

関係会社間取引

ご質問の場合には、いろいろな考え方ができると思いますが、A、B及びC社が

同族グループ企業であることからすると、「B社は、C社との間で直接業務委託契

約を締結することができるにもかかわらず、なぜA社を介在させるのか。」という

ことが問題となります。この点に関する明確な主張・立証ができない場合には、取

引価額の差額 40 について、同族会社の行為計算規定(法 132)が適用される可能

性があります。特に、A社がペーパーカンパニーであることからすると、業務委託

そのものが架空ではないかという疑問を否定することはできないと考えます。

A社がペーパーカンパニーであること、A、B及びC社が同族グループ企業であ

ることからすると、A社とB社との間の取引を適正な取引とする理由を見出すこと

は難しいと考えます。 

 それとも、100の対価の配分金額は外国法人であるA社とC社との間の問題であり、

 B社は100を損金算入できるでしょうか?

 委託の対価としては60でも100でも、どちらでも適正だと言えないことはない水準です。

 もし100を損金算入と主張できる根拠のようなものがあればご教示頂けると幸いです。

外国親会社に対して支払う支払手数料について

 A社は外国親会社のブランドのスーツケースを日本国内でネット通販により販売する日本法人です。

 毎月、親会社への支払手数料として売上高の10%を支払っており、

 契約書には「商品・ブランド開発、カスタマーサポート、WEBサイト制作に関する手数料」と記載があります。

 この度、税務調査が入り、税務調査官は親会社で実際に上記業務でかかった費用にたいして10%程度を上増しした金額までが、妥当な支払手数料であると主張しています。(仮にこれをマークアップ方式と呼びます)

 これに対し、納税者側は、親会社のブランドの持つ超過収益力に対するロイヤリティ料として支払っているという認識を示しており、

 妥当であると主張しております。

 契約書の書面に記載された内容は極めて実務的な作業代金の色合いが強く、

 納税者側のイメージと、書面による契約内容とが、乖離してしまっているように思えます。

 このような場合、契約書の文言に関わらず、ブランドのロイヤリティ料として超過収益力に基づいて支払っているという主張をすることは可能でしょうか。

 それとも、あくまで親会社側のコストに対するマークアップ方式に縛られてしまうものでしょうか。

 

外国親会社に対して支払う支払手数料について

法人が支出する費用の性質については、その取引の実態に即して判断することに

なります。その判断は、一義的には当事者間で合意した文書(契約書等)によること

になりますが、当該契約書等による費用の性質と異なる処理を行った場合には、法

人は、その処理を行ったことについての立証をする必要があると考えます(国外関

連取引においては、その費用の性質により独立企業間価格の算定方式が異なります

し、また、当該取引に係る立証責任は法人側にあると解されています(措法 66 の 4

⑦⑧参照))。

ご照会事例の取引は国外関連取引と推測されますが、その取引の実態及び契約内

容等が明らかでありませんので、法人の支払う費用の性質及び金額の算定方法につ

いての判断はできかねます。しかし少なくとも、法人がその取引に係る契約書等の

内容と取引の実態とが異なること及び採用した独立企業間価格の算定方法がその

取引の実態に即していることなどの疎明資料を提示して立証する必要があると思

われます。

なお、法人が行った処理について立証ができなかった場合には、国税当局におい

て独立企業間価格を推定し、更正することになると思われます(措法 66 の 4⑥)。

(注)取引の実態が契約書等の内容と異なる場合において、その実態に即した独立

企業間価格を算定し、その結果税務否認が生じたときは、その税務否認額は帳

簿書類の虚偽記載として重加算税対象となる可能性があります(平 27.6.26 付

(最終改正)課法 2-7「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」参

貸切バス運行会社の運転手が乗客から受け取るお茶代等の金銭について

 A社は観光ツアーに対し、大型バスとドライバーを提供しているバス運行会社です。

 旅程の中でツアーガイド等から運転手に対してお茶代等と称して、

 現金を受け取ることがあるのですが、

 この金銭はA社にとって売上となり、運転手からA社へ報告をあげさせたうえで、運転手に対してわたる金額を給与課税するべきだと理解すべきでしょうか。

 ツアーガイド側はお茶代を奮発することにより、多少時間的に苦しいコースであっても、日程内で回ってほしいなどの要求がある様です。

 (訪日旅行客の場合、例えばただ東京から大阪に行く日程であっても、途中で富士山の見えるコースを通ってほしいなどの臨時の要望が大変多いと聞きます。)

 会社の職務上の行為に対する謝礼であるため、

 運転手に対する個人的な謝礼として会社は関知しないという理解は難しいでしょうか。

 もし、会社として関知しないで済むような方法や、理解の仕方があればご教示いただけないかと思いご質問させていただきました。

 

観光バス会社の運転手が受け取るチップの収益の帰属について

 ツアー会社等(個人を含む)が観光バスの運転手に支払う金品は、これを支払うこ

とによって、運転手個人の歓心を買いある種の便宜を図ってもらうための金品の贈

答行為であり、たとえ取引に関連する支出であっても、直接の取引先であるバス会

社に正当な取引行為として手数料等を支払うものとは全く事情が異なり、いわば一

種の「心づけ」ないしは「袖の下」と考えられます(この点については、法人が支

出する金品について交際費等に該当するとの取扱い(措通 61 の 4(1)-8、61 の

4(1)-15(9))も同様の考え方に基づくものと思われます)。

 また、受領した運転手については、所得税法上、自己の職務に関連して使用者の

取引先等からの贈与により取得する金品は雑所得の収入金額になることとされて

います(所基通 35-1(12))。

 ご照会事例については、原則として、法人の収益に帰属するものではなく、運転

手個人の所得として所得税の課税対象となります。

 ただし、当該チップ(心づけ)を法人が管理をして、何らかの基準に基づき従業員

等に配布する場合には、当該チップを法人の益金の額に算入し、その配布した金銭

の性格により給与、福利厚生費等の処理をすることになると思われます。 

 当社では顧客であるシステム開発会社との間で業務委託契約を締結し、

 自社のIT人材を派遣し、いわゆる人工出しと同様に、時間数に応じて報酬を

 請求しております。

 このような場合、システムエンジニアに対する給料手当・賞与・法定福利費・通勤交通費については、

 すべて売上原価に計上することが適当でしょうか。

 一般的な会計の解説書には製造業以外において人件費を売上原価とすることはないというように開設されることが多いように認識しておりますが、

 正しいところをご教示いただければ幸いです。

 

サービス業における人件費の計上区分

Q)サービス業における人件費を売上原価に計上することは可能か

A)

 結論から申し上げますと、サービス業においても人件費を売上原価に計上するこ

とは可能です。

 売上原価の計上区分には、売上の対象となる製品・商品やサービスに直接係らせ

て把握された原価が計上されることになります。

 製造業では、製造に関わった工員の人件費が製造原価として製品の原価に賦課さ

れ、当該製品が販売されたときに、損益計算書上「売上原価」に計上されることに

なります。

 サービス業の場合も製造業と同様に、客先へ提供されたサービスに直接係らせて

把握されたコストは、サービス提供のための原価として「売上原価」に計上するの

が本来の損益計算書の姿だということになります。

 したがって、ご質問いただきましたとおり、システムエンジニアに係る人件費等

は、「売上原価」に計上することが望ましいということになります。

 グループ法人税制の損益実現時期について

 個人を頂点とする完全支配関係にあるA社からB社へ、

 時価1億円、含み益1000万の土地を譲渡した場合について、

 当初は売却損益が課税繰り延べされるかと思いますが、

 その後A社を解散・清算する場合には、譲渡損益を計上しなければならないでしょうか。

 また、A社が解散・清算せずに休眠法人となった場合はいかがでしょうか。

 ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。

 

グループ法人税制の損益実現時期について

 内国法人が、その有する譲渡損益調整資産をその内国法人との間に完全支配関係

がある他の内国法人に譲渡した場合には、その譲渡損益調整資産に係る譲渡損益に

相当する金額は繰り延べすることとされています(法 61 の 13①)。

 この場合に、譲渡法人がその譲渡損益調整資産に係る譲受法人との間に完全支配

関係を有しないこととなったときは、譲渡損益調整資産に係る譲渡損益に相当する

金額は、その譲渡法人のその完全支配関係を有しないこととなった日の前日の属す

る事業年度の所得金額の計算上益金又は損金に算入することとされています(法

61 の 13③)。この場合に、残余財産が確定し、法人が消滅したときにも、完全支配

関係を有しないこととなったことに該当するものと解されています。なお、この場

合の完全支配関係を有しないこととなった日は、残余財産の確定の日の翌日と考え

られます。

 ご照会事例については、譲渡法人であるA社が解散し清算中である場合には、譲

渡損益調整資産に係る譲渡損益の計上は要しませんが、A社の残余財産が確定した

ときには、その残余財産の確定した日の翌日に完全支配関係を有しなくなったもの

として、その前日(すなわち、残余財産の確定の日)の属する事業年度で益金又は損

金に計上することになると考えます。なお、休眠中の法人は、完全支配関係が継続

しており、また、損益を計上する特段の規定がありませんので、損益の計上は要し

ないものと考えます。 

新設法人の消費税の納税義務について

 消費税法12条の2(新設法人の納税義務の特例)についてご質問させていただきます。

 外国法人の消費税の納税義務について検討する場合には、12条の2の判定時期は、

 その外国法人の本国における設立の時であり、

 日本において事業を開始した日や、日本支店を設置した日ではないという理解でよろしいでしょうか。

 

外国法人に対する新設法人の納税義務の免除の特例規定の適用の有無

消費税は、基準期間がない法人のうち、資本金の額又は出資の金額が 1,000 万円

以上の法人については設立当初 2 年間は課税事業者に該当することとしています

(消法 12 の 2①)。

この規定は内国法人に限らず、外国法人にも適用されるものであり、外国法人に

ついては、質問にあるとおり日本において事業を開始した日等ではなく外国法人の

本国における設立の時を基準に判定するものとされます。

なお、この規定の外国法人に対する取扱いは、国税庁質疑応答事例に掲載されて

いますから参考までに添付しておきます。

【参考・国税庁質疑応答事例】

外国法人に対する法第 12 条の 2 第 1 項の適用の有無

【照会要旨】

消費税法第 12 条の 2 第 1 項《基準期間がない法人の納税義務の免除の特例》の

規定は外国法人(国外に本店又は主たる事務所を有する法人)についても適用があ

るのでしょうか。

また、適用があるとした場合には、外国法人の「資本金又は出資の金額」をどの

ように考えるのでしょうか。

【回答要旨】

1 外国法人であっても、当該外国法人がその本国において設立されてからの 2 年

間は、日本国内において事業を行う限り新設法人に該当し、社会福祉法人又は課

税事業者を選択している法人に該当しない限り消費税法第 12 条の 2 第 1 項の適用

対象となります。

2 外国法人に対して消費税法第 12 条の 2 第 1 項を適用するに当たっては、設立初

年度についてはその事業年度開始の日における当該外国法人の日本国内での登記

上の資本金又は出資の金額、第 2 年度については前事業年度の貸借対照表に記載

された資本金又は出資の金額により判定するものとします。

なお、外国法人の「資本金又は出資の金額」が、当該外国法人の本国通貨で表

示されている場合の円貨への換算は、法人税基本通達 20-3-14《資本金の額等

の円換算》の考え方を準用し、当該事業年度開始の日における電信売買相場の仲

値により換算することとします。

(理由)

外国法人の資本金又は出資の金額について

 

 

 

 外国法人が日本において内国法人と同様に継続取引をする場合には、日本におけ

る代表者を定め、外国会社の登記をする必要があり(会社法第 933 条)、また、当

該登記完了までは、日本国内において継続取引を行えないこととされています(会

社法第 818 条)。

また、外国法人の登記は、日本における同種の会社又は最も類似する会社の種類

に従い、その会社の設立の登記事項及び外国会社の設立の準拠法、日本における代

表者の住所・氏名等を登記することとされ(会社法第 933 条)、更に、当該登記の

申請書には、本店の存在を認めることのできる書面、日本における代表者の資格証

明及び会社の定款若しくはその会社の性質を識別できる書面等で、それぞれ外国会

社の本国の官憲又は在日公的機関の認証を受けたもの(いわゆる宣誓供述書といわ

れるもので、本店所在地、設立年月日、出資(資本)金額等が記載されている。)

を添付することとされています(商業登記法第 129 条)。

このことから、外国法人に対して法第 12 条の 2 第 1 項を適用するに当たっては、

設立初年度についてはその事業年度開始の日における当該外国法人の日本国内で

の登記上の資本金又は出資の金額、第 2 年度については前事業年度の貸借対照表に

記載された資本金又は出資の金額により判定することが実務的に妥当です。

なお、第 2 年度については、資本金等の変更があった場合は資本金等の変更の通

知が日本における代表者に到達してから 3 週間内に変更登記を行うこととされて

いる(会社法第 9334、915 条)ため、当該事業年度の開始の日における登記事項に

よることとすることもできますが、変更登記が完了していないこともあり得ます。

このため、前事業年度の貸借対照表に記載された資本又は出資の金額とするもので

す。

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