輸入消費税の還付申告(退税)のメリット

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最近お問い合わせを非常に多くいただいたのが、輸入消費税の還付スキームです。
弊社では実際に税務調査及び行政指導としての還付審査を複数件経験しております。

日本の楽天やヤフー、Amazon等に出品し、
・商品販売者は外国法人、
・商品は外国から日本へ直接出荷(※ Amazonの日本のFBAには入れない。)
・税関の輸入名義は、日本法人(名義貸し) という条件
です。

この場合に消費税のメリットが2つ生まれることになります。

1、売上の消費税は当面2年間のあいだ支払う義務なし
  基準期間における課税売上(日本における)売上が1000万円を超えた事業年度の
  翌々事業年度に、はじめて消費税の納税義務が生じます。
  また、簡易課税制度を使う事により、納税を節約できる可能性があります。

2、輸入消費税は日本法人側で還付可能
    
  輸入消費税は実質的にこのビジネスを行う外国法人側ではなく、
  名義を貸している日本法人側で控除(還付)を受けることができます。
  輸入消費税はあくまで、輸入許可通知書の名義が優先され、
  実質的な当事者は問題とされないのです。

  さらには、名義を貸す日本法人が外国法人から受け取る手数料(名義料)も
  非居住者(外国法人)に対する役務の提供となり売上の消費税が免除されます。

 東京地方裁判所( 平成20年 2月20日 判決 )

 【判示事項】 消費税法基本通達11-1-6は、一般的に、実質的輸入者が仕入税額
 控除を受けるべきとする趣旨のものか。
 【判決要旨】  消費税法基本通達11-1-6は、輸入申告が限定されているよう
 場合には、実質的な輸入者である商社と、申告をするいわゆる限定申告者との名義が異な
 ることが想定されることから、そうした例外的な場合には、実質的輸入者が引取りに係
 る消費税について仕入税額控除を受け、いわゆる限定申告者は実質的な輸入者からの買取
 りについての消費税額について仕入税額控除を受けることとして、仕入税額控除制度の趣
 旨を全うさせようとしたものであると解されるのであって、この通達が存在することによ
 って、およそ消費税法30条1項について、一般的に実質的輸入が仕入税額控除を受け
 ると解釈すべきことにはならない。
 ~
 申告納税制度は、法定の納税義務者に対して申告することを義務付ける一方、この納税申
 告に対し、納税義務の確定という公法上の効果を付与するものであって、納税義務者が第
 三者名義で納税申告することは法が予定していないところであり、したがって、本件にお
 いては、輸入消費税の申告納付は、原告X会社でなく、Cの名義で行われたというのであ
 るから、Cが本件輸入消費税の納税義務者であったことが公法上確定され、本件輸入消費
 税については、Cが課税事業者として納付すべき消費税において控除されることが予定さ
 れるものであって、X会社が課税事業者として納付すべき消費税において控除されること
 はないと解すべきである。


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関税法において、「貨物を輸入する者」とは、仕入書に記載されている荷受人を指します。

そのため、領収書の保存ではなく、外国法人が輸入申告の名義人となり、

輸入許可を受けていない限り、外国法人においては輸入消費税の仕入税額控除はできず、

日本法人側で輸入消費税を控除(還付)することとなりますが、もともと外国法人は売上の消費税を納める必要が無く免税事業者である状態のため、税務的にはメリットしかない状態となります。

  

最近我们收到了很多关于进口消费税退税方案的询问。我们公司实际上已经经历了多个税务审计和作为行政指导的退税审查。

 

在日本的楽天、Yahoo、Amazon等平台上销售商品,具体条件如下:

 

商品销售者是外国法人

商品从国外直接运往日本(注:不能存放在亚马逊日本的FBA)

进口报关名义是日本法人(名义出租)

在这种情况下,将会有两个消费税的好处:

 

在接下来的两年内,销售消费税无需支付。

在基准期间内,如果销售超过了1千万日元的业务年度,那么在下一年度就会产生消费税缴纳义务。此外,通过使用简易计税制度,可能会节省纳税。

 

进口消费税可以由日本法人方面退税

 

进口消费税实际上不是由从事该业务的外国法人方面承担,而是由出租名义的日本法人方面扣除(退税)。进口消费税仅优先考虑进口许可通知书的名义,不会考虑实际当事人。

 

此外,出租名义的日本法人从外国法人那里获得的手续费(名义费)也被视为向非居住者(外国法人)提供的服务,并且免除了销售消费税。

メモ: * は入力必須項目です

輸出と輸入を行う場合の消費税のタックスプランニング(還付最大化)

>今後売上を1億、3億と伸ばしていくため、来年から月1で海外出張予定。

>国内への販売や輸入販売も検討中とのことでした。

 

>輸出とは別法人で行ったほうがいいと知人から聞きましたが、

>輸出、輸入、国内販売、どの割合くらいから別法人にしたほうがいいか、

>目安はありますか?

 

輸入消費税は当社名義で輸入代行(名義貸し)し、輸入消費税は当社で仕入税額控除、

別に作ったA社で販売(A社から当社へ輸入代行手数料支払)

A社は免税事業者または簡易課税が有利かと思います。

 

この仕組みであれば、輸入消費税は控除しながら、国内販売の消費税は

免税、もしくは簡易課税によるみなし仕入率90%もしくは80%適用後の税負担での

納税が可能となり、非常に有利といえるかと思われます。

 

※関税のアンダーバリューリスクにはご留意ください。

輸入名義貸しの法的リスクについて

1 ご質問
>外国企業が日本でECビジネスを始める際に、
>日本企業が輸入者として名義貸しをする例が増えているようです
>この場合には、輸入関税のリスク(アンダーバリューなど)が名義人に帰属する
>以外に、何か法的なリスクはありますでしょうか。
>税関に問い合わせたところ、税関事務管理人として届け出るのが本来のやり方であ
>ると指導されましたが、特段厳しい言われ方はありませんでした

2 回答
取引規模や回数などにもよりますし、
ご指摘のとおり、
現状、厳しい対応はされていないのが実態だとは
思いますが、法律上は以下のリスクがあります。

(1)通関業法違反の可能性
関税法との関係では、税関の回答の通り、税関事務管理人として届けるのが本来の方法となります(関税法95条)。
一方で、通関業法上、通関業務を行うには、財務大臣の許可が必要とされています。

名義貸し事例の場合、日本企業自身が形式上、輸入者となるため、
これを回避しているように見えますが、法律の厳密な適用は実態により判断されますので、
実質的には、他人(外国企業)の依頼を受けて、名義を貸与することで、許可なく
通関業務を行なっているとして、通関業法違反に問われる可能性はあります。

この場合、通関業法41条2号により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
という刑事罰があります。

(2)民事上の損害賠償責任について
事案によっては輸入者としての
責任を追及されるおそれがあります。
例えば、製造物責任法(P L法)において、
輸入品においては、輸入業者が製造業者と同様の責任を負うと定めており、
引き渡した製品の欠陥により、他人の生命、身体または財産を侵害した場合、
過失の有無にかかわらず、これにより生じた損害を賠償しなければなりません。
(製造物責任法3条及び2条3項)

もちろん、単なる名義貸しの場合に、全責任を負うかというのは輸入者の関与の度合い
などにも依存することもあるのでしょうが、反復継続して行なっていた等の場合で、事故が
あった場合等は、リスクの高い行為となります。

輸入名義貸しの製造物責任を回避するための契約文言(案)

第 条(賠償責任等)
委託者(外国法人   )は、本契約に基づき受託者の名義で輸入される商品の欠陥
(商品の特性、通常予見される使用形態、本商品を納入した時期その他の本商品に係る事情を考慮して、
本商品が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。)により、
日本国内における本商品の購入者または第三者の生命、身体もしくは財産に損害が生じた場合は、故意、過失の有無を問わず、
一切の損害(買主が第三者に支払った賠償額、顧客対応のため負担した費用、買主による本製品の回収費用、
弁護士費用等を含むがこれらに限られない。)を直ちに賠償するものとする。
 また、受託者がやむを得ず商品の欠陥に関する問題に対応する場合には、委託者は対応に関する費用を弁償する。

 

外国から日本の消費者宅へ直接通販する場合の消費税

ヤフーショッピングを運営する日本法人で年間売上8000万前後。

商品は中国で生産され中国から日本のユーザー宅に直接発送されます。

 

今まで消費税の納税義務無しと考えて、消費税申告はしないで、

その旨を毎年書面添付してきましたが、今回無事に税務調査があり是認(OK)されました。

 

1日本税関における輸入者名義はお客様名義で申告済み。

 (ヤフーショッピングで購入した日本在住の個人消費者)

 関税の1万円未満免税に該当し、お客様は関税・輸入消費税ともに支払い無し。

https://www.customs.go.jp/tsukan/kanizeiritsu.htm

 

2お客様に到着する伝票には依頼主として、この日本法人の記載あり。

 

なお、なぜ輸入者名義が日本法人ではなく、個々のユーザーになっているかというと、

インボイスの名宛人は宅配便送り状と揃えないといけないため、との事でした。

 

輸入者名義がそうなっている以上、

この日本法人が販売した商品は外国貨物(輸入許可前の貨物)となりますが、

本来は、消費税の対象外売上(国外売上)ではなく、

輸出免税売上(外国貨物の譲渡)に該当する可能性もあったのでしょうか。

資産の譲渡場所(所有権移転場所)が国外であると、税務当局は判断したものと思われます。

 

消費税法基本通達7-2-1 (輸出免税等の具体的範囲)

(2) 外国貨物の譲渡又は貸付け

・・・
お客様の側にたって調査対応したものの、年商8000万で消費地が日本にも関わらず、 消費税を全く課税できないというのは、 税制としては抜け道を許してしまっているのかどうか・・。 しかし、本来、税負担をすべきは輸入した個人であり、売った法人ではない。 1万円未満のため、個人が免税を受けただけ。 海外旅行の人が、タバコや酒を無税で持ち込むのと同じ話。 外国の会社が、日本の個人に売るのと同じ話であり、 その年商8000万円の会社が、ラッキーという話でもない。
こういう考え方もありますね。


輸入手続を委託した場合の仕入税額控除の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/16/26.htm

【照会要旨】
 当社は、米国のA社からB製品を輸入するに当たり、その輸入を国内のC社に委託すること
にしました。B製品の輸入に際してC社が輸入貨物の引取り者(輸入者)として輸入申告を
行い、C社においてB製品の保税地域からの引取りに係る消費税(以下「輸入消費税」とい
います。)を納付していますが、当社はC社の納付した輸入消費税を負担することとして
います。
 この場合、当社の消費税の確定申告に際して、当社が負担したC社の輸入消費税を仕入税
額控除の対象とすることはできますか。
 なお、B製品の輸入は、関税定率法又は関税暫定措置法の規定に基づき、いわゆる限定申
告が必要となるものではありません。

【回答要旨】
 貴社の消費税の確定申告において、B製品の輸入消費税を仕入税額控除の対象とするこ
とはできません。

(理由)
 消費税の仕入税額控除の対象となるのは、国内において行う課税仕入れのほか、保税地
域からの課税貨物の引取りがあります。この保税地域から引き取った課税貨物に課された
又は課されるべき消費税額について仕入税額控除を受けるべき事業者は、消費税法第30条
《仕入れに係る消費税額の控除》の規定に基づき、当該課税貨物を引き取った者、すなわ
ち輸入申告を行った者になります。
 したがって、照会の輸入消費税に係る仕入税額控除はC社が行うこととなるため、貴社
が消費税の確定申告に際して、当該輸入消費税を仕入税額控除の対象とすることはできま
せん。

(注)貴社が輸入者となる輸入申告で、単にその手続をC社に代行させる場合には、C社
ではなく貴社が、その輸入消費税を仕入税額控除の対象とすることとなります。

【関係法令通達】
 消費税法第30条第1項

【お問い合わせ先】

 

川崎みらい税理士法人・川崎みらい行政書士法人(テレワーク実施中)
kawasaki-mirai-grp@outlook.jp
〒212-0012神奈川県川崎市幸区中幸町3-3-1太陽ビル3階
TEL050-1790-1670  FAX044-330-1683

メモ: * は入力必須項目です

アマゾンFBAへの輸入の場合の関税調査に関して

海外からの輸入でAmazonFBAに納品するケースでは、税関により2020年頃から、

割高な関税の賦課が行われています。

これは従来アンダーバリュー申告が多発したことから、税関として厳密に対処するために

Amazonにおける販売価格に一定率を乗じて関税・輸入消費税を賦課する方針に転換したためです。

関税調査も増加しているようです。

 

適正税率により通関する方法についてはこちらのリンク先が参考になりますので、

ぜひご参照ください。

https://makoto1688.com/fba-late-reason/

https://coconala.com/blogs/874913/128811

輸入消費税の還付申告の具体的な計算

海外事業者の消費税計算の具体例でご説明させていただきます。

Amazonでは出品者のインボイス登録を呼び掛けているため

今後、海外事業者のインボイス登録が増えることになりますので、

有利不利の判定の参考にご検討ください。

①前提: Amazonでの年間売上 33,000,000円 輸入消費税 2,000,000円 

※ 簡易課税の適用できる規模

 

輸入代行の場合 輸入代行会社 還付 2,000,000円 

        海外事業者 納税 簡易課税 600,000円 

       (簡易課税 小売業により、3,000,000円×80%の2,400,000円は、みなし控除) 

 

海外事業者が輸入名義となる場合

        海外事業者 納税 簡易課税 600,000円

 

②前提: Amazonでの年間売上 110,000,000円 輸入消費税 7,000,000円 

※ 原則課税となる規模

 

輸入代行の場合 輸入代行会社 還付 7,000,000円

        海外事業者 納税 10,000,000円

 

海外事業者が輸入名義となる場合

        海外事業者 納税 3,000,000円

 

なお、実際の簡易課税の適用については、事前に簡易課税制度選択届出書の提出が必要であり、

海外事業者1社あたりの、

基準期間(2年度前)の日本での売上高が5000万円未満の場合にのみ適用可能となっております。

 

 

 

輸入に関する名義貸し料は、消費税の免税売上になるのか

日本で輸入者の名義貸しを行い、輸入消費税の還付申告を行っている会社は、
いわゆる海運代理店や通関業者が多いのではないでしょうか。

そして、依頼者は外国の海運代理店が多い(荷主から直接依頼ではなく)かと思います。

そのような場合に名義貸しの報酬が消費税の課税売上になるか、免税売上になるかを検討します。
結論からいうと、輸入名義貸し料は免税売上になると考えます。

非居住者に対する役務の提供が輸出免税になるか否かについては、基本的には

「報酬の支払者が」国内において直接便益を享受しているか・いないかで、免税の有無を判定する。
さらに、報酬の支払者が国内において直接便益を享受しているかどうかの判定について、
「報酬の支払者が日本で消費税課税対象となる売上を上げる事に直結する効果があるなら、
 国内において直接便益を享受すると言える」
という考え方になります。
しかし、さらに、報酬の支払者にとって、「日本国内だけで直接便益を享受しているか」の判定も
加味する必要があります
ので、
今回の事案では「日本国内だけで直接便益を享受していないので、
輸入名義が資料は輸出免税売上となる」
という結論になるかと思います。

(国際運輸の場合には、差出地国と目的地国にまたがって役務が行われ、
 両国で消費税法上の売り上げが生ずるという考え方(内外判定)が背景にあります。)
なお、名義料について合意がなく、消費税還付金が実質の報酬となる場合については
契約上合意されていない役務の対価であるため、消費税の課税の対象にはならないものと考えます。

在日本,从事借用进口商名义的业务,并申报进口消费税退税的公司,多数为海运代理和报关代理公司。

 

而委托人通常为外国的海运代理(并非直接来自货主的委托)。

 

在这种情况下,需要考虑借用名义的报酬是否算作应税销售额或免税销售额。我们的结论是,进口借用名义的费用应当被视为免税销售额。

 

对于针对非居民提供的服务是否享有出口免税,基本原则是基于“报酬支付者”是否直接在国内获得了利益。此外,还需要考虑报酬支付者在国内是否直接获得了利益。如果“报酬支付者在支付报酬后,将直接影响其在日本应税销售额的增加”,则可以认为报酬支付者在国内直接获得了利益。然而,还需要考虑报酬支付者是否“仅在日本国内直接获得了利益”,因此在本案中,我们认为“由于未仅在日本国内获得利益,因此进口借用名义的费用应被视为出口免税销售额”。

 

(在国际运输领域,有“内外判定”的概念,即服务跨越发货国和目的地国,因此在两个国家都产生了消费税法上的销售额。)

 

另外,对于未达成协议的借用费用,并且实质报酬为消费税退税款的情况,我们认为这是作为未约定的服务对应的报酬,因此不应被视为消费税的征税对象。

輸入消費税の還付申告にあたり売上高の消費税区分を税務調査で指摘された事例

指摘1

 船社チャージが極めて少額であり、国際輸送の一貫取引には見えない。

 実質は輸入通関と国内配送の手配業務である。

 

 回答1

 混載便は料金公表されておらず価格交渉があるため、

 支払いは商品出荷地で行い条件確定させるのが通常である。

 輸入国側のエージェントでは船社チャージは当然、少額かゼロとなる。

 また、供給過剰で定期便の枠が余っており、ゼロ・マイナスの運賃が十分あり得るので、

 船社チャージの金額に着眼しても意味がない。

 当社は乙仲業者(輸入手続き専業)ではない。

 

 指摘2

 国際輸送業者の下請けとして日本での輸入部分を担当するだけなので、通達7-2-1の一貫輸送に当たらない。

 

 回答2

 輸出国のエージェントと輸入国のエージェントとの連携で物流を成立させるのであり、

 どちらが下請けということは無い。

 日本通運のような規模の会社でなければ両国に窓口を持つことは不可能だし、

 日本通運にしても、日本法人と現地法人は法人格が別のはず。

 自前で全部やっていないから一貫輸送ではないという理解はおかしい。

 

税務調査での指摘事項について、下記のように返答しました。

こういった指摘は多いにあり得ると思いますので、事前に契約書請求書の書式整備、所轄税務署との協議など進めておくべきだと思われます。

 

 当社は、荷主の委託を受けた物流会社である、○○○、○○○等からの依頼により、中国発・日本着の国際運輸業務をおこなっております。

 

 今回の税務署のご指摘によれば、当社の発行する請求書には、船社チャージの記載がないか、あるいは船社チャージが少額であるので、当社は国際運輸業務を行っているのではなく、国際運輸業務のうち、日本国内の部分を下請けしている、

ゆえに、当社の売上のうち国内配送部分については、消費税法の免税規定である、「国内と国外にわたって行われる貨物の輸送」に該当せず、課税売上に該当するとの事でした。

 

 しかし、以下の理由から、この判断には疑義がありますので、再度ご検討をお願いします。

 

1、船料の支払いがないから国際輸送業務ではないという理解について

 

 国際的な貿易条件であるインコタームズによれば、DDP、CIFなど、送料や保険料については差出人負担とするものもあれば、受取人負担とするものもそれぞれ存在します。

 

 前者の場合には、差出地側国の物流業者は船社への船料の支払いを行いますが、目的地側国の物流業者は、船社への支払いを担当しないことが一般的です。

 当社の場合にも、たまたま今回は船料の金額が小さい、あるいは無い、という指摘を受けましたが、これは、貿易条件や輸出・輸入の違いによるものであり、行っている業務内容や責任範囲には一切変わるところがありません。

 

 また、実務上は①船料をゼロにし、他の手数料で利益を稼ぐケース ②船料をゼロにし、相当額を商品価格に内在させるケース もあるので、請求書の記載項目を根拠として課税処分を行う事は実態に合わない場合があります。

 

 仮に、船料のやり取りの有無により国際運輸業務への該当性が決定されるという理解に基づけば、どちらか一方の国の物流業者は国際運輸業務を行っていないということになりますが、実務上、国際運輸業務は差出地国と目的地国の両方の物流業者の協業がなければ成り立ちません。

 船料の有無だけで判定すれば、日本を介する国際物流の約半分について日本国内配送部分の消費税が課税されることになります。

 これではあまりに多くの事例で日本国内配送部分の送料について消費税が課税されることになり、一貫輸送について免税対象とする規定の趣旨に反し、非居住者に対し価格転嫁を通じて日本の消費税を負担させることになると思われます。

 また、下記4に記載のとおり輸出免税への非該当性について、根拠を欠くのではないでしょうか。

 

2、請求書の記載項目を着眼点とする事について 

 

 国際物流業務の請求書記載について、当社の場合には、下記Aのように、詳細に項目を表示し取引先に理解してもらいやすいようにしていますが、下記Bのように大幅に簡略化した総額での表記を行う同業者もあります。(業務内容はほぼ同一)請求書の表記の違いだけの理由で、取引の実態が誤解されて消費税の課税免税の判定に大きな変化が生ずる実務は平等とは言えないため、課税処分としてそのような判断は避けるべきだと思われます。

 

A 当社の場合

 

 

項目

1

船社チャージ

2

通関料

3

取扱料

4

輸入代行名義料

5

ドレージ料

6

デバン作業

7

国内配送トラック

8

税関検査作業料

9

検査立会料

10

輸入関税消費税



B 記載を大幅に省略している同業者の事例

 

1 代理手続費

2 諮詢服務費  (注)配送トラック料などの項目が売上請求書に出てこない。



3、業界における処理慣行について

 

 当社と同業の他社にも確認を取ったところ、同様の事例では非居住者に日本の消費税を請求しようとしても、まず指摘を受けることになるので課税処理で請求書を上げることは不可能である、との意見でした。

 また、この業界に入ってくる新人スタッフがよくやってしまう請求書の作成間違いが、上記のものであり、むしろ免税処理にするように指導される慣行があるとのことでした。



4、通達、通達の逐条解説等の記載ぶりについて

 

 消費税法基本通達と、その逐条解説を見ておりますが、今のところ今回の税務調査での論点については明確に書かれている箇所がありません。

 今回のご指摘のように課税処分を行うためには、「船料の有無によって判断するものとする」、あるいは、「日本から輸出する案件のみが免税対象となる」と言った具体的な記載が必要ではないでしょうか。

 

 消費税法基本通達7-2-1

 法第7条第1項及び令第17条各項《輸出免税等の範囲》の規定により輸出免税とされるも のの範囲は、おおむね次のようになるのであるから留意する。

 

 (3) 国内及び国外にわたって行われる旅客又は貨物の輸送(国際輸送の一環として行わ れる国内輸送区間における輸送を含む。)

 

 (11) 非居住者に対する役務の提供で次に掲げるもの以外のもの

 イ 国内に所在する資産に係る運送又は保管

 ロ 国内における飲食又は宿泊

 ハ イ又はロに準ずるもので国内において直接便益を享受するもの

 

 消費税法基本通達 7-2-5

 「国際輸送として行う貨物の輸送の一部に国内輸送が含まれている場合であっても、

 当該国内輸送が国際輸送の一環としてのものであることが国際輸送にかかる

 契約において明らかにされているときは、

 当該国内輸送は国際輸送に該当するものとして取り扱う。」

 

 消費税法基本通達7-2-5の逐条解説

 「貨物の一環輸送契約を締結した場合において、

 その対価の中に梱包料金、荷役作業料金、書類作成料等の付帯料金が

 含まれているとしても、その全体を国際輸送に係る料金として

 収受している場合には、その全体が国際輸送としての役務の提供に該当する

 ものとして輸出免税の対象となる。」

 

 

 

海外EC業者からの物流を受託し、輸入者名義貸しもする場合にPE認定はあるのか

【設問】海外EC業者からの物流を受託し、輸入者名義貸しもする場合にPE認定はあるのか

 

当社(A社)は物流倉庫を持つEC業者ですが、複数の海外の同業者からの物流・倉庫業務を受託し、輸入者名義も貸すこととなりました。PEとして当社の倉庫が認定されるリスクはあるでしょうか。

 

【検討】

・倉庫がPEと認定されたAmazonの事件が参考になります。Amazonは自社倉庫を構え大量の自社従業員を雇用していたものの法人税を支払っていませんでした。

 

・倉庫PE事件では、日本のアパートの一室がPE認定されました。

 

・上記の2つの事件から言えることは、

 

 日本に従業員(人的資源)が配置されているか

 共有ではなく専有のスペースとしての倉庫があるか の判断要素ではないでしょうか。

 

・しかし、平成30年税制改正により、PEの範囲は拡充されています。

 

・・・・・

EYのホームページです。

https://www.ey.com/ja_jp/library/info-sensor/2018/info-sensor-2018-11-07

平成30年度改正前は、商品の保管や購入のみを行う場所・施設等はPEに該当しないという国内法の規定ぶりでした。例えば、製品の販売を業とする外国法人が、日本国内に相当数の従業員が勤務する製品の保管・引き渡しのみを行うための巨大倉庫を保有していたとしても、それだけでは日本国内にPEを有していないことになっていました(<図1>参照)。仮に、このような倉庫が企業の製品販売事業の本質的な部分を構成するような活動を行う場所であった場合、この倉庫がPE認定から漏れてしまっては、日本の課税権が不当に損なわれてしまいます。

 今回の改正により、いかなる活動も「事業の遂行にとって準備的・補助的な性格ではない場合」は、PE認定の例外としないことになります。よって、前記の例において、当該倉庫における活動が準備的・補助的な性格を持たない場合には、今後はPE認定がなされてPE帰属所得に対する課税が増加すると思われます。

 

 新しい通達の書きぶりはこうなっています。

 

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/181212/pdf/20-1-0.pdf

 

恒久的施設とされる代理人(以下「代理人PE」という。)について、次の見直しが行 われた。 イ 代理人PEとは、国内において外国法人に代わって、その事業に関し、反復して一 定の契約を締結し、又は一定の契約の締結のために反復して主要な役割を果たす者 をいうこととされた。 ロ 代理人PEの範囲に含まれないこととされる独立代理人の範囲から、専ら又は主と して一又は二以上の自己と特殊の関係にある者に代わって行動する者が除外され た。 ② 保管、展示、引渡しその他の活動(以下「特定の活動」という。)を行うことのみを 2 目的として保有する場所等は、その特定の活動が外国法人の事業の遂行にとって準備 的又は補助的な性格のものである場合(一定の場合を除く。)に限り、恒久的施設に含 まれないこととされた。 

 

④ 代理人PEの範囲について、在庫保有代理人及び注文取得代理人の規定を削除すると

ともに、同業者代理人に関する措置を廃止することとされた。

 

【新設】(補助的な性格のものの意義) 20-1-3 令第4条の4第4項《恒久的施設の範囲》に規定する「補助的な性格のもの」と は、外国法人としての活動の本質的かつ重要な部分を構成しない活動で、その本質的かつ 重要な部分を支援するために行われるものをいうのであるから、例えば、次に掲げるよう な活動はこれに該当しない。 ⑴ 事業を行う一定の場所の事業目的が外国法人の事業目的と同一である場合の当該事 業を行う一定の場所において行う活動 ⑵ 外国法人の資産又は従業員の相当部分を必要とする活動 ⑶ 顧客に販売した機械設備等の維持、修理等(当該機械設備等の交換部品を引き渡すた めだけの活動を除く。) ⑷ 専門的な技能又は知識を必要とする商品仕入れ ⑸ 地域統括拠点としての活動 ⑹ 他の者に対して行う役務の提供

 

⑵ 本通達の⑵について、例えば、インターネット販売を行う外国法人が国内に大規模な 倉庫を保有し、商品の保管及び引渡しの活動に多数の従業員を従事させている場合があ る。この場合の倉庫は、発送業務等のインターネット販売を行う法人にとって重要な業 務を行う拠点であり、当該外国法人にとって重要な資産であると認められることから、その倉庫で行う商品の保管及び引渡しの活動は当該外国法人の資産の相当部分を必要とする活動になる。よって、その倉庫で行う活動は外国法人としての活動の本質的かつ重  要な部分を構成するものであるから、「補助的な性格のもの」に該当しないことになり、 当該外国法人は恒久的施設を有することになる。 また、その活動は、国内に大規模な倉庫を保有していることから、当該外国法人の従 業員の相当部分を必要とする活動になる。このことからも同様に、その倉庫で行う活動 は「補助的な性格のもの」に該当しないことになる。

 

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・新しい通達といっても例示されているのは、日本に大量に従業員がいるケースであり、日本に従業員もなく、専有の倉庫もなく、ただ物流業者に委託している状態でのPE認定とは距離間のある通達に感じられます。

 

・輸入者名義を貸していることはPEと関係があるでしょうか。

 輸入者名義を貸さない限りは、海外から直接発送するしかないはずですから、

 輸入者名義を貸すことについては以前から変わらない前提条件だと言えます。

 

・仮にPE認定されたとして、倉庫業務の利益と考えるか、販売業務の利益と考えるかの問題があります。

 

・倉庫業務の利益だとするなら、そのようなものは、委託先であるA社に全て支払い済みではないでしょうか。

 

・A社もEC業務を行っているとの事ですが、A社の社員がどこまで関与するのかが気になります。物流業務だけなのか、アフターサポートか、あるいは商品の企画までやるのか、いずれにしても海外EC業者の社員が日本におらず、A社に全てを委託している状態であれば、A社への業務委託費以外に日本帰属所得は存在しないという議論は乱暴でしょうか。