売却時の税金
個人が所有していたアンティークコイン・古銭を売却した時に、1つで30万円を超えるものが、
所得税の申告対象となります。
株式や社債を売却して得た譲渡益は、分離課税で税率は20%ですが、
これに対しアンティークコインの資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などの所得と合わせて総合課税の対象となります。
(コインの購入と販売を生業として生活している方については、この計算方法ではなく、一般の事業所得の計算方法が適用され、雑所得となる場合もあります。)
この総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つに分かれます。
長期譲渡所得となるのは、所有期間が5年を超えている場合で、短期譲渡所得となるのは、所有期間が5年以内の場合です。
総合課税の譲渡所得の金額は次のように計算し、短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります。
譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費(注1) + 譲渡費用(注2))-50万円(注3)
(注)
1. 1 取得費とは、一般に購入代金のことです。このほか、購入手数料や設備費、改良費なども含まれます。ただし、使用したり、期間が経過することによって減価する資産にあっては、減価償却費相当額を控除した金額となります。
2. 2 譲渡費用とは、売るために直接かかった費用のことです。
3. 3 譲渡所得の特別控除の額は、その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円です。その年に短期と長期の譲渡益があるときは、先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引きます。
消費税は収集品としての譲渡(コインショップで売買される古銭や記念貨幣など)は課税されます。
支払調書制度について
アンティークコインには金と違い支払調書制度はないが、
売却時に譲渡所得を申告しないと、コインショップ業者、オークション業者への税務調査により収集された買取先等の情報から、無申告が露呈することが考えられます。
相続時の税金
アンティークコインは貨幣の額面ではなく、時価により相続税が課税されます。
時価とは買取業者・査定機関による評価額(売買実例価額・精通者意見価格などから評価額を算出)となります。アンティークコインは、同じ通貨であっても保存状態により価格が異なるためです。
古銭の生前贈与による相続税対策
アンティークコインは、人気によって相場が上がったり下がったりします。古くから所有しているコインの資産価値が知らぬ間に上がっている可能性があります。
相続税はなくなったときの時価に対して課税されますが、
贈与税は贈与する時の時価に対して課税されます。
贈与の特徴は、時価が安いタイミング、今後根が利するだろうけれども今はまだ安いというコインを安いうちに贈与し、安い金額で納税できることです。
値上がりが見込まれる資産は値段が上がる前に贈与をする事で相続税、贈与税の軽減につながります。
贈与税は確かに相続税よりも税率が高いのですが、まだ実現していないキャピタルゲインを親族に移転することができます。
登記がいらない古銭の贈与
不動産を贈与する場合には、登記が必要、贈与した事実が公然のものとなる、上場株式の贈与も名義の書き換えを証券会社で行う必要がある、古銭の贈与には登記が不要。
税務署側に贈与の事実を認識してもらう為にも、基礎控除の枠を超える贈与をして、贈与税の申告書を提出し、少しでも納税を行う必要があるのか?
贈与契約書に確定日付をつけ、保管する。
少額からできる古銭の贈与
不動産であれば贈与税の基礎控除110万円は確実に超えるため、贈与税の申告義務はほぼ絶対に発生する。
古銭であれば数十万円台前半から存在するので、小分けにして連年贈与することが可能である。
※いわゆる相続税法上の連年贈与に該当するか否かについては別途検討が必要ですので、ご相談ください。
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