税務調査の料金について
(調査終了までの数か月間 逐次、進捗をご報告します)
調査立会い 5万円/日
修正申告 法人税 3万円/年度(調査期間3か月以上の場合50%加算)
消費税 2万円/年度(調査期間3か月以上の場合50%加算)
税務調査における検討・交渉の方法
調査により把握された事実関係及び否認根拠となる税法条文を、税務調査官に明示していただいたうえで、FAX等のやり取りにより、
理論的に解決策を導いていく必要があります。
・前提条件として合意した事実関係の確認
・別の計算方法による解決の可能性、別の計算方法を税務当局が排除する理由
・合理的な計算結果について誰が作成を行うのか
・主張の変遷、強弱を可能にする複数の代理人の選任
得てして、何が俎上にあるかを明確にしないまま時間が無駄に過ぎることがありますが、得体のしれないものを恐れ続けることは賢明とは言えないでしょう。
税務調査は日数がかかります
税務調査の手続きは近年複雑化しており(税務署からの資料持ち出しの制限等)、一回税務調査に行く毎にかかる日数・時間は非常に税務調査官と納税者・税理士の負担になります。
税務調査官、税理士と「お互いの時間を有効に使いましょう」と言えるだけの信頼関係を築くことができればベストだといえるでしょう。
税務調査に対する自戒(信頼関係をベースとした緊張感を)
税理士は税務調査の時に納税者の意見を代弁し、税務署職員の行き過ぎた行動を阻止するためのみにいるのではない。
国税(税務署)と税理士はともに税務行政を築き上げるパートナーである。
ゆえに国税は点数稼ぎ的な調査手法に走ったり、挑発的な言動をすることを自重し、
税理士はいたずらに対立をあおることなく、また自身の責任逃れをするのではなく、
日ごろの信頼関係を有効利用し、
税務調査を納税者が受け入れやすいように納得いく説明を行うことが必要である。
調査当日はどのように振る舞えばよいか
堂々と日常の業務についてご説明いただければ大丈夫です。
ただし、過剰にサービスし過ぎることは裏目に出る場合もあります。
「ここにある資料は全部見ていいよ!」と力強く、
提出した資料の中には税理士も見たことのない、
税務上やや問題ありの内容が・・・
という話は実際にちらほら聞きます。
基本的には、質問されたことに回答すればよいという姿勢で間違いないかと思います。
最近の税務調査の傾向
①デジタル化
・会社内の社内サーバーを閲覧させてほしい(効率的に資料収集したいから)
・社長のスマートフォンのLINEやwechatの履歴(決済履歴)を収集させてほしい
上記のような要望が実際に、調査官からあったという話を聞いたことがあります。
もちろん「任意」での資料収集をしているわけで、
応じないといけない義務はないのですが、
「義務」か「任意」かは紛らわしい部分もありますので、あまり詳しい説明がなく資料提出を
依頼されれば勘違いしてしまうこともあるでしょう。
(それは調査官誰もが用いるテクニックであり、逆に慎重になりすぎて資料依頼などすれば非効率
だという事情もあるのでしょうが)
②社長に署名(サイン)を求めることの増加
税務署員の方が作成した調書について、調査対象会社の社長にサインを求めることが増えました。
これは主に証拠が取れないような事情を立証するために使われる様です。
もちろんですが、調査官が書いた文章に対して、一発でサインはしないほうが良いです。
下書きさえされず、一発で社長の認識とぴったり一致することなどまずありえませんから、
本当に納得した段階でサインするか、そのような文書は拒んで、
ご自身または税理士に文章作成を依頼してください。
税務調査当日までに、税務署の人が調査済みの事項
・法人、個人口座への入出金内容
(代表以外の役員や従業員個人口座については、調査に来てその人物が経営に深く関与している
と判明すれば調べることがあります。)
※一部の税理士は、法人の税務調査では、
業務上の取引のない個人口座の情報提供を断るべきだと、主張をしていますが、
現実には、納税者が同意しようとしまいと、税務署には個人口座を閲覧する権限があります。
これが現実の状況です。
ですので、私としてはあまり断る意味は感じませんが、
どうしてもその場で話題にしたくないプライベートがある場合など、
断ることも選択肢のひとつです。
税務調査当日の流れ
1日目
10時 調査官が臨場(来社)
10時から正午まで 会社の概況のヒアリング
13時から17時まで 帳簿書類や領収書・請求書などの精査
必要に応じて在庫の保管状況や、車両の保管状況を確認しに、
現地に赴く。
・金庫の閲覧
・在庫の保管状況の確認
・従業員の身分の確認
・車両の保有台数の確認(駐車場などで)
17時(16時) 調査官が税務署へ戻る。
2日目
10時 調査官が臨場(来社)
10-17時 帳簿書類や領収書・請求書などの精査
16時 調査結果について、総括。
未解決事項については、税理士と税務署で今後やり取りをする旨の確認
(3-4カ月かかる可能性も)
17時(16時) 調査官が税務署へ戻る。
17時(16時) 調査官が税務署へ戻る。
どのように準備すればよいか
申告書のもとになった会計帳簿や、さらに会計帳簿のもとになった請求書、領収書などが、
すぐ探せる状態になっているかどうか確認してください。
請求書、領収書であれば、会計事務所に一度提出しているので、
会計事務所からの返却資料を見ればすぐに見つかるでしょう。
問題は、納品書や仕入先の連絡先などの情報です。
現金で支払った仕入代金などについては、納品書や仕入先の連絡先まで、
税務調査でヒアリングされる可能性があると思ってください。
現金で支払っている外注費や人件費がある場合には、
外注先や従業員の身元まで詳しく判明しない限り税務調査は終わらないと思ってください。
調査当日を迎える前に、整理しておかれることをお勧めします。
税務調査には何人でやってくる?
・ベテラン1名+新人1名(調査が長引く傾向)
・若手1名(調査が長引く傾向)
・ベテラン+ベテラン
・ベテラン1名
・超ベテラン(退職に向け有休消化中の方)1名
とにかく様々なパターンがあります。
税務調査に対する時間・日数の費やし方も、それぞれの調査官によって、全く異なります。
統括、上席 → ベテラン なので、要注意 というのが一般論です。
昨今の税理士報酬の低額化の流れと税務調査との関係
税理士業界の流れ
・顧問料の低額化
・1社あたりの関与度合いの低下
・顧客と税理との距離感、打合せ時間の減少
まる2日みっちりと行われる税務調査時に、
「税理士の知らない新事実」、
「申告書に反映されていない事実」が出てきてしまう可能性の増大
どのような会社が調査対象に選ばれるのか
・現金取引の多い会社(特に外注費や人件費)
・消費税の還付申告をしている会社
・海外からの入出金の多い会社
・コンサルティング会社、システム開発会社など、モノの販売を伴わない業種
(取引実態があるのかどうか、取引先からの反面調査)
・前回の税務調査で重加算税が課税されたなど、税務署から悪質と認識されている会社
・一般的に脱税の多い業種
・同業他社に比較し経費率が異常に高い会社(売り上げが極端に低い場合を除く)
税務調査の経験を今後の経理業務に活かす
税務調査では、税務署員、会社(納税者)、税理士の3者が密度の濃い2日間を過ごすことになります。
この経験を今後の経理業務にぜひ活かしていきましょう。
逆の言い方をすれば、税務調査は3年周期で入るといわれますので、
3年前の調査での指導事項が改善されていることが、
会社(納税者)と税務署との信頼関係の源になるはずです。
過少申告加算税 と重加算税
税務調査で指摘を受け、本来払うべき税額を追加納付する場合には、
その税額に対して10%の過少申告加算税が追加(上乗せ)されます。
より悪質な脱税行為(売上を個人口座へ入れる、書類を偽造するなど)に対しては、
過少申告加算税ではなく重加算税(本来の税額の35%が加算)が課税されます。
修正申告の内容に意図的な脱税行為があったかが判断されますので、
納税者側は正しく主張を行い誤解であれば誤解を解く必要があります。
(※ なお、いわゆる期ズレでは重加算税にはなりません。)
◇統括国税調査官
税務署の課長級、調査先の選定や調査担当者の復命管理を行う
税務調査折衝の窓口責任者
年齢幅は40代前半~60歳前後
◇上席国税調査官
税務署の係長級、調査担当者で若手職員の指導にも当たる。
困難調査事案を担当したりもする。
年齢幅は35歳前後~60歳前後
◇国税調査官
税務署の主任級、調査担当者
年齢幅は20代後半~30代後半
◇事務官
税務署の一般職員、調査担当者
年齢幅は20歳前後~30歳前後
◇特別国税調査官
税務署の副署長、課長級
税務署所管(資本金1億円未満が大部分)
年齢幅は40代後半~60歳前後
連載「傍流の正論~税歴60年の教え」
弁護士・税理士 品川 芳宣
第12回/理由附記
2022年06月27日 税のしるべ
元々、税務調査の現場では、調査の上手な人は作文が下手だし、作文の上手な
人は調査が下手だというのが通り相場であったので、その後の実務では、調査を
早く終わらせるために、更正から修正申告へ切り換えられていった。
「修正申告」と言えば、納税者の自主性を尊重したもので、申告納税制度の下
で一見適正な処理でもあるように考えられる。しかし、現実は、必ずしもそうで
はない、と言える。
我々がやってきた更正処分主体の場合には、綿密な調査を行い、その調査所得
等をていねいに説明し、実額で争われないよう十分注意してきた。
しかし、修正申告となると、「バナナの叩き売り」の如く、最初に否認できそ
うな項目を多く並べ、少しその項目を減らして、修正申告に誘う(追い込む)と
いう手法が多く見られる。時には、権力的な調査を行い、納税者に不安感を与え
ながら、修正申告に追い込むという手法も見られる。
・・・
品川先生が相当踏み込んで、ずばっと語っています。
西村検事は脱税事件の専門家なんですね。彼によると、脱税の被疑者は、いくら脅しあげてもプイと横を向いて何も供述をしない。泣き落としでいっても全然乗ってこ ない。泣いても怒鳴っても叱っても全然ダメ。大体はそんな被疑者ばかりなんだ、と。 そして、脱税事件で供述を取る方法は、自分の経験からすると一つしかない、と言う んです。その被疑者が辿ってきた生活を再体験することしかないんだ。すると、必ず
二つの要素があることがわかる。
一つは、他人に言えないくらい貧乏で、お金でものすごい苦労をしたことがある。
とりわけ子どもの頃、貧困に喘いだ経験がある。しかし、それだけでは巨額な脱税事件は起きない。もう一つの要素が必ずある。それは、貧乏して困っていた時に国が何もしてくれなかった、何も助けてくれなかった、そんな経験をしたたかに味わされた。
貧困と放置。この二つの要素が合わさると、自分はようやく成功して儲けることができたけれども、国は私に何もしてくれなかったのだから、税金なんか払う 必要はない―こういう気持ちになるんだ。個別に事例を聞いてみると、本当に涙が流れるような話がいっぱいあるし、なんて日本の国って冷たい国なんだ、と思う。
佐藤さん、本当にそういった事例ばかりだぜ。だから巨額脱税事件に在日外国人、在日 の韓国人や朝鮮人が関わるケースが多いのは、日本政府は何もしてくれなかったじゃないかという思いが強くあるからだし、事実、冷淡は冷淡なんだよ、この国は、と西 村検事は言うんです。
「そこで私が西村検事に、「しかし、そういった話を聞いて、あなたはつらくなるで しょ。しかも、あなたの仕事はそれを事件化して、起訴することでしょ?」と訊いた ら、「それはそうなんだ」と答えました。
それで、若い検事たちに、「取調室で、相手 の人生を追体験するんだ。それができれば落とせる」と教えている、とも言うんですね。
「そうやってどんどん事件化していく中で、あなたの気持ちはどういうふうに整 理できるんだろう? 脱税事件は社会の構造から出ているわけだろう?」とさらに訊 いたら、西村検事は「うーん」と唸って俯いて、やがて顔を上げると「整理しない」 と答えた。
彼は「そんなこと整理したら、やっていけないだろ」と言った。「これは 僕の仕事なんだと割り切って、次の仕事をやる。それしかないんだ」。私はこの話を聞いて、ああ、この男はやっぱり非常にキレるし、気をつけなきゃいけないな、と思った。
彼らの仕事は国家を維持することなんです。
「私、何度も見たわよ。家の中にずかずか入ってきて威張るの。何、この帳簿? おたくいい加減な商売やってるねえ。これ本当に経費なの? 領収書見せなさいよ。領収書、なんてね。私たち隅っこの方にこそっといて、ごはんどきになると特上のお寿司の出前取るの。でもね、うちのお父さんは税金を誤魔化したことなんて一度もないのよ。本当よ。あの人そういう人なのよ。昔気質で。それなのに税務職員ってねちねち根知文句をつけるのよね。収入ちょっと少なすぎるんじゃないの、これって。冗談じゃないわよ。収入が少ないのはもうかってないからでしょうが。そういうの聞いてると私悔しくってね。もっと金持ちのところに行ってそういうのやりなさいよって怒鳴りつけたくなるのよ。ねえ、もし革命がおこったら、税務署の職員の態度って変わると思う? 」 「極めて疑わしいね。「じゃあ私革命なんて信じないわ。愛情しか信じないわ。」」